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[…江澤アナウンサー、
…三好院長]
fmいずみラジオ3443通信咽頭異物(2)目次
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三好先生、前回は美食家の天敵である、咽頭異物。ひらたく言えば、魚の骨をノドに引っ掛けてしまわないように、とのお話を実例を交えてご教示頂きました。 三好先生が先日、苦労して患者さんのノドからつまみ出したのは、3㎝もあるサバのホネだったんでしたっけ? |
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どうやったら、そんなに大きなホネを気付かずに飲み込んでしまえるのか、なんだか不思議な気さえする。大変なサバのホネが、舌根部つまり舌の付け根に刺さっていまして・・・・・・。表面に顔を出しているのは、ホンの1㎝くらいなんですけれど。 |
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三好先生が苦心して引き出すと、なんと3㎝もある大きなホネだったんですね(笑)? |
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のどの反射があるものですから、患者さんが苦しがってゲーゲーやっているのを、30分もかかって除去するのは、・・・・・・ホントにくたびれました(笑)。 |
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魚のホネを間違って飲み込んだ際には、ご飯をまるごと飲み込むと良い。そんなお話を聞いた憶えもありますが。 |
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表面に顔を出している部分よりも、粘膜に刺さり込んで見えない部分の方が長い、そういうホネだってありますから・・・・・・。 |
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まるごとご飯がいつも有効だとは・・・・・・? |
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却って、ホネをノドの粘膜深く押し込んでしまう可能性だって・・・・・・。 |
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それを考えると、たかが魚のホネと言えども、決して疎かにしてはならない。 |
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そんな気はします。 |
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魚のホネ以外では、どんなものがノドに引っ掛かり易いんでしょうか? |
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最近、仙台市内ではあまり多く見なくなりましたが、今でも稲刈シーズンの前後にはイナゴの佃煮を引っ掛けて、当院を受診する農家の方がおられます。 |
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イナゴですと、足が引っ掛かり易いんでしょうね? |
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足をむしってから、佃煮にすると良いんでしょうけれども。 ノドを覗くとどちらかの扁桃腺の陰に、イナゴの足が見えて、ぎょっとすることがあります。 |
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ノドの異物は、扁桃腺に引っ掛かり易いんでしょうか? |
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イナゴの足は、左右どちらかの扁桃腺に引っ掛かり易いんですけれども。 魚のホネは、扁桃腺の陰か舌根部に存在する傾向が強いんです。 |
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それ以外の異物も、いろいろあるんでしょうか? |
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どんなに苦労するとは言っても、咽頭つまり口腔内にある異物は、そんなに命に関わるわけじゃあありませんが。 |
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えっ、先生。命に関わるような異物も、現実にはあるんですね? |
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咽頭からさらに奥に入ってしまい、気管や気管支あるいは食道に入ると、重篤となり摘出も困難になる異物が多くなります。 |
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それは先生、例えばどんな? |
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イナゴもそんな1例ですが、食習慣が異なると、思いもよらぬ異物の見られることがあります。 私が教授を勤めている南京医科大学の耳鼻咽喉科では、当直医師が毎晩3~4症例の食道異物の緊急手術を担当します。 その異物とは、江澤さん、何がそんなに数多く急患として来院するのか、その元となる美食は何なのか想像がつきますか? |
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三好先生から江澤がお聞きした限りでは、中国の代表的な美食は「北京ダック」ですけれど。まさかそれと何か関係があるとでも・・・・・・? |
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さすがは1を聞いて10を知る江澤さん。ダック料理であることは間違いなく、その意味では百点満点です(笑)! |
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まさか先生、北京ダックがノドに引っ掛かるわけじゃあありませんよねぇ? |
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江澤さん。ダックはそもそも、中国のどの地方の料理でしょうか? 湖水や河川の多い南寄りの地域の料理でしょうか、それとも乾燥した河川の少ない北京付近の名物でしょうか。 |
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やっぱりダックは、水辺に近い湖水の多い地域に多く生息しているような気がします。ってことはつまり、北京ダックはもともと、北京の料理ではなかったってことになります(笑)? |
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ダック料理は本来、河川の多くダックの生息数の多い南京の名物だったんです。 モンゴル発祥の元の国を、明の朱元璋が滅ぼします。明は首都を南京に置いたんですけれども、3代目の永楽帝が北京に遷都しました。その際に・・・・・・。 |
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ダック料理を、南京から北京に持っていったんですね? そしてそれが北京ダックになった。 |
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私の言いたいことを先に言わないでくださいよ、江澤さん(笑)。 |
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ともあれ、南京ダックは北京ダックの先輩で、南京でもダック料理は名物なんですね! |
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南京ダックは北京と違って、丸ごとダックを蒸した料理ですので、ダックの皮も肉もホネもすべてが軟らかいんです。 で、スープをすするようにして、肉やホネまですすって食べるものですから・・・・・・。 |
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そのときに、誤ってホネを食道の中にまで飲み込んでしまうんですね。 |
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吸い込まれたダックのホネは、細かく裂けた状態で食道の軟らかい壁に、グサッと刺さります。 |
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痛そうですねぇ! サバのホネの何倍もつらそうですね。 |
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それをほったらかしにすると、食道と肺との間にバイ菌が入ってしまい、そこに膿がたまるものですから。 |
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南京医科大学の三好先生のお弟子さんたちが、当直のたびにその後始末をさせられるわけなんですね? |
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美食家にとって異物の問題は、決して疎かにしてはならない。それが人生の教訓です。 |