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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

2015年 白老町アレルギー調査に参加して(2) 愛知県いそべクリニック 院長 磯辺善成先生

 本誌249号にご寄稿頂きました「いそべクリニック」院長・磯辺先生より、2015年に実施された白老町学校健診レポートの続きを頂きましたので2年越しのご紹介をいたします。

○前回のあらすじ

 2015年のチベットアレルギー調査において、日中間の情勢不安定を理由に参加が叶わなかった磯辺先生は、同年実施された白老町学校健診に参加される事になりました。
 それは、かつての磯辺先生が白老町での診療医を希望された際、大学教授から「待った! 」がかけられ白老町での診療が叶わなかった事。
 その想いを果たすために、白老町での学校健診に参加をされた経緯をご紹介いたしました。

●第2部 如何してアトピーに 関わるようになったか

 私はアトピーに関わるようになったのは、25年前(1993年)、当地で開業してからです。
 一喝された先生もお亡くなりになり、医局というしがらみから離れて、自由に考えることができるようになってからです。
 たまたま、関西電力病院外科に勤務していた時に、新しい院長太藤重夫元京都大学皮膚科教授が赴任してこられ、珍しい皮膚の病気があれば、いつも呼んで下さって、直接教えていただきました。
 このことがきっかけになって、開業するに当たり、外科、整形外科、内科、眼科(学生の頃から眼科で、先輩がなさる診断や手術の助手をしていました)それに皮膚科も標榜することにしました。
 二度目の赴任病院、小浜公立病院では、一般外科だけでなく、脳外科や泌尿器は勿論のこと、同級生が困っている時には、産婦人科もやり、何人かの赤ちゃんも取り上げました。
 また、頸部の癌の研究をしたくって、耳鼻科にとても尊敬していた岩井一先生がおられたので、最初の入局は耳鼻科を選びました。
 しかし、回された研究室は前庭の部屋でした。来る日も来る日も、前庭に関わる神経の研究で、森本正紀教授(京都大学耳鼻科)からいただいたテーマ―は“蟹を前に向いて歩かせ”でした。
 癌の研究を諦めることができず、3ヶ月目に、外科に変わらせて下さいと申し出たのです。
 教授は「君、3ヶ月で教室を変わるなんて、男は廃るぞ! 何処へ変わりたいのかね! 」
 「第二外科へ変わって、癌の研究をやりたいのです」
 「よし、そうか。わかったから、紹介状を書いてやろう」と、言っていただき、紹介状付きで、外科に変わったのです。
 現在、医学教育を受けて来た先生方には、恐らく想像もできないでしょうけれど、いつの間にか、全科を診ることができるようになったのです。
 このことは、アトピーの問題を考え、研究する上に、計り知れない程の利点をかもしだしてくれたのです。
 “アトピーって野生の動物にあるのだろうか? ”
 今までに、あるなんて聞いたことが無い。では、人間と野生の動物との差はなんだろうか、と思案し続けていました。
 結論は“頭から足先まで、当然のように、くまなく、毎日洗うことではないだろうか”“では、洗うことで、何が皮膚に起こるのだろうか”。
 まず、洗剤の作り方からその作用を調べ尽くしました。
 合成界面活性剤であるが“石鹸”と称せられている物でも、すべて洗剤は人工的に製造されている物で、衣類の汚れや皮膚の脂肪成分と反応して、ミセル(脂肪滴)を形成するように作られているということです。つまり“化学物資”であり、必ず、化学反応を起こすのです(図1)。
 結局、皮膚の皮脂膜、角質層は脂質からなっていて、合成洗剤で洗えば、化学反応を起こします。すると、知覚神経が角質層まで来ていて、痒みを感じるようになります。
 しかし、これだけでは、重症化したアトピーに感染が、しばしば観られることを説明できません。
 そこで、消化菅における局所免疫を光学顕微鏡(図2・3)と免疫電顕(図4)で得た所見を総合して、模式化したものが図5です。
 この局所免疫機構が我々に備わっているお蔭で、消化菅に生息している100兆個もの細菌、ウイルス、カビや有害物資が、生体に侵入できないのです。
 この素晴らしい機構が皮膚にも存在していることが解ってきました。
 では、合成洗剤で洗えば、どうなるのでしようか。そうです、分泌型IgAが洗い流されて、感染が起きるようになるのです(図6)過剰な石鹸はアトピーのもと。

(図1) (図1)

(図2) (図2)

(図3) (図3)

(図4) (図4)

(図5) (図5)

(図6)過剰な石鹸はアトピーのもと (図6)過剰な石鹸はアトピーのもと