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2020年8月号(No.306)

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耳の聞こえを知る検査

耳がちゃんと聞こえているかどうか、それを測定する聴力検査と言います。この検査にはヘッドフォンを耳にかけて普通に音を聞かせる気導聴力検査(図1)と、耳の後ろの骨にレシーバーをあてがって音を聞かせる骨導聴力検査(図2)とがあります。
 こうして2種類の検査を行なうのは、それによって耳の中の病変部位が推定できるからなのです。
 耳の中は、外耳・中耳・内耳の3つの部分からできています(図3)。これらのうち内耳は音を感じ聴神経へと伝える部分で、外耳と中耳は内耳に音を振動として伝える部分です。
 このため内耳に原因のある難聴つまり聞こえの悪さを感音難聴、外耳・中耳に原因のある難聴を伝音難聴と称します(図3)。
 一方、気導聴力検査では音は外耳・中耳・内耳と伝わり(A音)、骨導聴力検査では音は内耳に直接入ります(B音)。このため、内耳に原因のある感音難聴では気導骨導ともに検査成績が悪く、外耳・中耳に原因のある伝音難聴では気導検査が悪いのに骨導検査の成績が良い、という結果を示します。
 これを表示するのに、オージオグラム(図4・5)という方法を使います。この表では、聞こえの悪さの程度とその周波数を読み取ることができます。
 ここでは右の気導聴力を〇で示して線で結び、右の骨導聴力を右空きの括弧[で示します。左はそれぞれ×と左空き括弧]です。
 この表の右側が高い周波数の音を左側が低い音を示しており、〇×や括弧が下に書いてあるほど聞こえが悪いということです。
 図4は右側伝音難聴で骨導検査成績が良いのに気導検査が悪く、図5は左側感音難聴で気導骨導とも検査成績が悪いことが分かります。
 こうして聞こえの悪さを図示すると、難聴の性質や程度が一目で分かります。耳の病気の診断や治療に、直結するという訳です。

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