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2020年6月号(No.304)

01

~「江澤・三好丸」と大国家・元の旅~

●An.江澤アナウンサー●Dr.三好院長

●An.私たちの船「江澤・三好丸」はベネチアから、アドリア海へ。そして地中海を経てエーゲ海へと順風の中、進路を取っています。

●Dr.「江澤・三好丸」の目的地は、モンゴル族の大国家であった元の首都・大都です。マルコ・ポーロの父親であるニコーロの足跡をたどって、もう少し航海を続けましょう。ボスポラス海峡を抜けて、黒海に入ります。

●An.黒海に入る手前、ボスポラス海峡の南側があのマルマラ海ですよね?

●Dr.そして黒海の北岸には、ナイチンゲールで有名なクリミア半島があります。黒海近辺は気候も比較的温暖なので、観光地としても良い場所なんです。

●An.ニコーロは、やはりクリミア半島を通ったんでしょうか?

●Dr.クリミア半島を北に抜けて、そこから東へ。カスピ海の北方を通過し、天山山脈から現在のウルムチ、そしてゴビ砂漠を通り、元の首都である大都に到着します。

●An.大都って、今のどのあたりなんでしょうか?

●Dr.偶然なんですけれど、現在の北京市と同じ場所に位置していたんです。気候や地理が、首都を置くのに適していたんでしょうね。

●An.ニコーロが、ベネチアから大都へ安全に旅することができた。ってことは逆に…?

●Dr.そうです。その頃、元は東シナ海からハンガリーまで広大な領地を所有し、治安のしっかりした大国を築き上げていました。この結果、ユーラシア大陸の東側の文化である陶磁器が、中近東の文化のコバルトで彩色されることになったんです。

●An.あぁそうか! 元という一つの国内ですから、文化の交流はスムーズなんですね。

●Dr.そうやって彩色された陶磁器が紅茶とともに船舶に積み込まれて英国に届けられ、現在でも英国の紅茶の茶器のセットは「白い陶磁器に青い色彩」が主流なんです。本当かどうか、こんなお話もあります。中国で細長い食べ物をゆでている光景を見たマルコ・ポーロはこの料理の作り方を現地人から教わって、それを帰国後ベネチアで広めたといいます。江澤さん。このお料理は、いったい何でしょうか?

●An.先生、それはきっと、スパゲティなどのパスタ料理です

●Dr.なんと「スパゲティ」というのは、マルコ・ポーロに同行していた船員さんの名前なんだそうです(笑)。

●An.イタリアのパスタ料理は、マルコ・ポーロ関係者の名前が付けられた、オリエンタルなメニューだったんですね(笑)?

●Dr.ですから、私たちが大好きないわゆる「イタ飯」には、1つ間違うと「スパゲティ」ではなく「ラーメン」という名前が付けられていた可能性も、まったくゼロではなかった(笑)。

●An.そこは歴史の偶然ですね!

●Dr.ところでそのマルコ・ポーロですが、彼自身はそうした素晴らしい陶磁器を目にするだけで、文化としてイタリアに伝えることはしませんでした。

●An.それじゃ、有名なマイセンの陶磁器なんて、マルコの足跡とは無関係に生み出されたもの、なんですね?

●Dr.お話は続く、です。

気になる不安・疑問を専門医で解決 めまいQ&A

Q “体操”で治るめまいがあるって本当ですか?

A 耳の中の三半規管の脇には「耳石器」と呼ばれる、体の位置を感じ取る神経細胞の上に石が載った装置があります。石は体の傾きを神経細胞に伝える役割を果たしているのですが、この石が交通事故などで体をぶつけたりした拍子に剥がれ、三半規管に入ってしまうことがあります。三半規管の中で石が揺れ、この動きが神経を刺激すると、体はめまいを感じます。首を上にひねったり、かがんだり、ちょっとした体の方向転換の瞬間ごとに世界がぐるっと回ってしまう。「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」と呼ばれるこのめまいは“体操”のようなリハビリ的な治療で治すことができます。
 BPPVは体の動きに従って石が揺れ、神経が刺激されて起こるわけですが、このめまいを起こす体の向きと逆向きに体をねじる治療が「エプリー法」です。三半規管の中に入り込んだ石を元の位置に戻し、症状の変化によって注射や飲み薬を併用することで、めまいがすっきり起こらなくなります。正確な診断と治療には、めまい専門医を受診するのが理想です。

※めまい専門会員はめまい学会ホームページで確認できます

 URL:http://memai.jp (日本めまい平衡医学会ホームページ)

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