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2021年2月号(No.312)

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「耳の日」と難聴②

●An.江澤アナウンサー●Dr.三好院長

●An.前回は「耳の日」である3月3日の話題から難聴者、すなわち耳の聞こえない、あるいは耳の遠い人に対して「声を大きくするだけでは十分な対応になっていない」というお話を伺いました。

●Dr.その理由についても前回、多少触れましたね。

●An.年齢的に耳が遠くなる場合、全体的に聞こえが悪化するのではなく高音部、つまりカン高い音域から聞きづらくなる。具体的な日常会話の中では語尾、すなわち肝心の「締めくくり部分」が抜け落ちて聞こえている。そういう、三好先生のご説明だったように思います。

●Dr.江澤さん。そこで会話の現場では、何が起きるんでしょうね?

●An.英語などでは「イエス」か「ノー」かという意思表示が、会話の最初に来ます。しかし日本語の「イエス」「ノー」は、言葉の最後に来ます。

●Dr.と、言いますと?

●An.江澤が先生に、「良いお天気ですね」と振ったら先生は、「そうですね」とか「そうでしょうか?」って、ご返事になります。

●Dr.江澤さんは「晴れ女」ですからねぇ(笑)。「ノー」の返事は、まぁあり得ない。

●An.(笑)。そしてその場合、「イエス」「ノー」に相当する語尾は「サシスセソ」、つまり子音で発音されることになります。三好先生、お年寄りの耳は子音、すなわち「サシスセソ」は、すごく苦手と教えていただきました。

●Dr.すると、どういうことが起こるでしょう?

●An.お年寄りは会話のやりとりなどで、話の最後に「そうした」のか「そうしなかった」のか。つまり、話全体の決定的な部分を聞き落とすんです。話の8割方聞こえていても、最後に話全体がイエスかノーかが理解できなくなっちゃう。

●Dr.お年寄りの聞こえの悪化は、英語とは異なる日本語会話の構成とも関連しているんだ、ということなんですね! さすがは江澤さんです。ハイ、座布団1枚(笑)。

●An.うれしいっ!

●Dr.それから、こんなこともあります。子どもがおばあちゃんに声をかけるとき、小さなかわいい声で「おばあちゃん」と呼び掛けても聞こえません。それなら、と大きな声で「おばあちゃん!」と呼ぶと、おばあちゃんは、こう答えます。「なんだよ、うるさいね」と(笑)。

●An.そういうことって、確かにありました(笑)

●Dr.実はこれ、内耳の神経が年齢的な理由でダメージを受けているときの特徴なんです。「補充現象」と名付けられていますが、小さな音はまるで聞こえないくせに、大きな音はいきなりやかましく聞こえる。

●An.ウソみたい!

●Dr.ですから、おばあちゃんたちに声をかけるときは、大きな声を出さず、耳元ではっきり発音してやった方が会話をよく理解してもらえます。「うるさいね」などと言われずに済むんです(笑)。

●An.大きな声がかえって聞こえづらいってことですね?

●Dr.耳の不自由な人に、大きな声が必ずしも全てではない。

●An.先生、次回はそのお話をぜひ聞かせてください。

気になる不安・疑問を専門医で解決 めまいQ&A

Q 「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」の治療について教えてください。

A BPPVは内耳の「半規管」に「耳石器」から剥がれた石が紛れ込み、この石が体の姿勢を変えるたびに神経細胞を刺激し、めまいが起こる疾患です。半規管の神経細胞が刺激されるような姿勢をとってから一瞬間を置いて、めまい発作が起きるのがその特徴です。この一瞬の間は「①姿勢が変わる」→「②重力に従って半規管内の石がゆっくり動く」→「③神経細胞を刺激する」という順序があるために生じます。

BPPVには「エプリー法」と呼ばれる治療が行われます。ベッドに横になり首をベッドの端から出して、医師の指導でゆっくり首をひねりながら半規管内の石を重力に従って少しずつ移動させ、最後は耳石器のある内耳の前方へ出してしまうのが、その方法。石が複数個、半規管に入っていた場合も2、3回繰り返して行うことで完全に外へ出すことができます。痛みもなく「めまい専門医」なら誰でもできる治療法です。めまいを防ぐため、治療の前に飲み薬や注射で安定剤を使用してから実施する必要があります。

※めまい専門会員はめまい学会ホームページで確認できます

 URL:http://memai.jp (日本めまい平衡医学会ホームページ)

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