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2021年5月号(No.315)

ラジオ3443通信 ~補聴器装用と耳掃除~

 

補聴器装用と耳掃除

●An. 難聴にはさまざまなタイプがあって、大きな声が万能ではないこと、補聴器を活用するためのいくつかの注意点について、お話が進んでいました。最近の補聴器はデジタル化が進んで、昔と比べ性能が良くなっている。それでも補聴器装用の前にチェックしておくべきポイントがあるんでしたよね? 先生!

●Dr. 補聴器を使用するお年寄りの耳を、まず耳鼻科でよく観察しておく必要があります。

●An. 耳鼻咽喉科では具体的に、どのようなことを診てもらうんでしょうね?

●Dr. 一つは、耳かすが詰まっていないか。昔の補聴器は、ごくフツーの耳栓で耳穴にあてがっていましたから。

●An. 耳かすがあっても、そんなに不都合じゃなかった(笑)?

●Dr. それは言い過ぎですけど。現在のデジタル補聴器ですと、耳穴の内側の音響効果も計算に入れて音を増強しますから。耳かすで耳穴がゆがむと、その影響さえ馬鹿にできないんです。

●An. ヘェーッ!

●Dr. 補聴器の耳栓は、今では耳の穴の形を採取して、使用する方の耳穴の特性を十分に計算に入れて、補聴効果を上げているので補聴器装用の前に耳鼻咽喉科で耳穴を確認しておく。それは絶対必要なんです。

●An. 知りませんでした。

●Dr. それからお年寄りの中には、子供の頃に中耳炎の手術を受けたことのある方もおられまして。

●An. 今のように、有効な抗生物質のなかった時代、ハナ垂れ小僧さんも確かに多く見かけましたけれど。先生、急性中耳炎などの耳の炎症もたくさんいましたよね。

●Dr. ひどいタイプになると髄膜(ずいまく)炎にまで至るものも、時に見かけまして。

●An. それは、手術が必要になるんでしょうか?

●Dr. 私の祖父と父親も耳鼻科医だったんですけれども、その時代には耳の緊急手術を受ける子どもさんも、珍しくなかった。

●An. 子どもの時分に耳の手術を受けたお年寄りって、耳に手術の傷跡が残ってるんでしょうか?

●Dr. 耳の穴の形が、へこんでいたり、他のお年寄りとは少し形が違ったりします。

●An. そういうお年寄りでも、補聴器は普通に使用できるものなんですか。

●Dr. 先程お話しましたように、現在の補聴器はその高性能をムダにせぬよう、耳穴の形まで採取して音響効果のアップに役立てます。その際に、いわばセメントみたいな柔らかい、後で固くなる素材を使用して、耳穴の形を確認するんです。ところが、子どもの頃の手術で耳の穴のゆだんがお年寄りでは、耳穴の型を採取しようとして、セメントみたいな素材を注入すると。さぁ大変(笑)。

●An. そのセメントみたいなのが、耳穴の中で固まって、取り出せなくなっちゃうわけですね。想像するだけで、恐ろしいような。

●Dr. 幸い耳鼻科医を受診すれば、これを除去してもらうことは簡単なんですけど。

●An. もしも近くに耳鼻科医のいない所で、そんな事故が起こったら…! 補聴器は、耳鼻科医の診断を受けてから、お店で購入しましょう! 面白いような、コワイお話でした。

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