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2021年9月(No.319)

 

げんき倶楽部杜人(2021年9・10月号)に掲載
耳の遠い人たちがコロナ対策マスクで困っています!!

院長 三好 彰

 

コロナウイルス対策として全国民がマスクを常時装用しています。しかし、会話時に相手の表情や口元の動きに多くを頼る耳の遠い人たち(難聴児・者)がマスクによって困惑している実態が知られていません。
 そこで全国の難聴児・者の団体にアンケートを送付し、マスク装用時の問題点と対処方法、その他(自由)などについて問い合わせ、135人から回答を得ました。

Q1.マスク着用で困ったこと

〇マスクで話言葉がゴモゴモする上に相手の口元が見えないために会話内容の把握が不十分になること。〇後ろからの声掛けに対して振り向いても、その場にいる人間の全てがマスクを装用しているために、肝心の相手が判明しづらい(図1)。〇逆に自分がマスクを装用しているために、相手から口元を見てもらえず会話が成立しない。

図01

 

Q2.そうした不自由への工夫

〇相手にマスクをずらしてもらう。〇まず自分からマスクをずらす。〇手話・指文字を併用。〇文字で書いてもらう。

Q3.自由回答

〇コロナ禍でマスク取り外しは言い難く、相手も不服そうで理解が得られない。〇手話を使うろう者と違い、難聴者は理解に遠い。〇コロナ禍で入院、看護師がマスク外してくれたが、感染リスクを考えると申し訳ない。〇マスクを外すお願いが病院・店舗でできなくなった。〇口元が見えず読話できず、表情も読み取れない。〇コンビニで「箸」の要・不要を問われると聞こえない(図2)。〇国会中継に字幕がない。〇医療機関勤務のため外せない、透明マスクの有用性を健聴者に理解してもらうのが難しい。〇筆談も面倒がられる。〇聴覚障害者=手話ではない。〇公的機関などでは文字情報を増やしてほしい。

図02(差し替え

Q4.改善点

〇知事などが会見の際マスクを外す改善は見られた。〇病院で番号表示器を置くよう頼み、設置してもらった。

私はある難聴者団体の元顧問として、難聴児・者の社会保障に協力してきました。1986年には全国難聴者研究大会に三笠宮寛仁親王殿下を私のルートでお招きしたり(図3、4)、難聴者国際会議で難聴者の付き添いをしたりしてきました。

図03(改訂)

図04
  図4 ありのまま舎から頂いた感謝状

 

大事なことですが、普段から難聴児・者はその障害を外観からは分かってもらえない、という悩みを抱えています。
 このため傍らの人からの声掛けに気付かず、不注意と思われたり、無礼な人間と誤解されたり、中には知能に関わる勘違いをされたりと心に傷を負うことも少なくありません。
 本当は、周囲にいる正常聴力者(健聴者)には難聴者が「耳が聞こえない」、つまり目には見えない障害を有している事実を外観からは認識できないことが最大の問題であり、これはマスクの有無にかかわらず、難聴という病態に常につきまとう難題です。

 一方、透明マスク(図5)が販売されるようになってきました。しかし難聴児・者にとって本当に必要なのは自分たち同士ではなく、周囲の健聴者がこのマスクを使用してくれることなのです。その努力は、私たち自身にも責任のあることかもしれません。

図05(改訂)
          図5

 

現在、難聴児・者の実情を理解してもらえるさまざまな方法が模索されています。要はニーズがあればサプライ(供給体制)は進展しますので、いつかもっと改良された手段が身近なものになってくるとは思います。そのニーズを探るためにこうしたアンケートなどを活用するだけでなく、難聴者自らも勇気を出して、この現状を訴える努力も必要かもしれません。
 もちろん周りにいる私たち健聴者が、それを少しでも助けてやることができたら、と切実に考えてもいます。
 本紙の読者の方々は、こうした難聴児・者の置かれた境遇に、あまりなじみがないかもしれません。
 でも、どうかお心の片隅に留めていただくことができたら、と念じずにはいられません。

 

図06

また、げんき倶楽部杜人を制作している会社より取材を受け、院長が2021年7・8月号の表紙で紹介されました。

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