3443通信3443 News

2021年12月(No.322)

 

めまい特集(2)-⑦
ラジオ3443通信「めまいの起きるメカニズム」

 

ラジオ3443通信は、2010年から毎週火曜10:20~fmいずみ797「be A-live」内で放送されたラジオ番組です。
 ここでは2010年6月15日OAされた、耳鼻咽喉科にまつわる病気の話題を分かりやすく、歴史や時には意外な観点からの話題を交えてご紹介いたします。

7 めまいについてのおさらい

An:
 三好先生、今回は耳から来るめまいの代表である、良性発作性頭位めまい症つまりBPPVについて、その原因と対策を聞かせて下さる、と伺いました。めまい専門医だけが知っている秘密の呪文も、教えて頂けるそうで……。

Dr:
 その前に、めまいを生じる病気について、簡単におさらいしてみましょう。
 前回、五感ということばについてご説明しましたが、これら聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚は、すべて脳に通じている脳神経の支配下にあります。
 金欠病による眼前暗黒感、つまり目の前が暗くなる状態や、空腹による低血糖すなわちエネルギーの不足による立ちくらみ、それから小学校などで校長先生による朝礼が長すぎるための起立性低血圧、こうしためまいは例外なんですけれど……。まあ、大部分のめまいは脳と脳神経、ことに内耳を支配している聴神経と、内耳そのものに原因があるものです。

An:
 金欠病に空腹ですか……。江澤にはおなじみのものばかりですネ。

Dr:
 それは、めまい専門医の呪文でも、治りっこありませんよ(笑)。
 それはさておき、そんなわけでめまいは、脳と脳神経そして内耳、つまり耳の神経に異常があると、発生するんです。

An:
 耳の神経と言いますと、 音を感じるかたつむり管と体の回転を感じる三つの半規管、そして体の位置を把握する耳石器のことでしょうか。

Dr:
 そして、めまいは耳の病気が原因であることがもっとも多く、その中でも先程のBPPVが最大の原因疾患とされています。
 ですからめまいを扱う上でBPPVは、忘れてはならない重要な存在です。

An:
 それは、耳の中のどこに原因があると起きるんでしたっけ?

Dr:
 三半規管、ことに後半規管と呼ばれる一番後ろに位置する半規管が、めまいの現場なんです。

An:
 その現場では、何が起きているんですか?

Dr:
 耳石器の、体の位置を感じ取る装置に付着している、一種の石なんですけれど、それがなにかの拍子に装置から剥がれて、半規管に入り込んでしまうんです。
 3つの半規管の中でも、位置的な理由から一番後ろの後半規管に入りやすいんですけどね。人間、人生の3分の1は仰向けに寝ていますから。

An:
 半規管っていうのは、体の回転を感じる部分でしたよね?

Dr:
 通常体が動くとき、半規管の中のリンパ液が惰性で、体の動きと逆の流れを作ります。それが半規管内の神経細胞を刺激して、人間の体の回転を感知することになります。
 ところで江澤さん、ジェットコースターって、お好きですか?

An:
 えぇ~と! ちょっと得意ではないですね……。

Dr:
 ジェットコースターに乗って体が回転すると、それを降りた後もなんとなくフラフラするでしょう?

An:
 します、しますっ(笑)。

Dr:
 それは半規管の中のリンパ液が、ジェットコースターで揺さぶられて、降りた後もリンパ液が惰性で動いている、それを半規管の神経細胞が感じているせいなんです。

An:
 私の友人がジェットコースターに乗った後って、第六感までサエているような気がするって言うんですけど、それってきっと三半規管が揺さぶられたためなんですよね?

Dr:
 三半規管が揺さぶられて2倍の第六感になるなんて……。どこからそういう発想が生まれるんですか?

An:
 それを、八艚(発想)跳びって言うんです(笑)。

Dr:
 ジェットコースターに乗らないと、そういう冗談は、フツー思いつきませんね(笑)。冗談はともかくとして、半規管の中のリンパ液が移動すると、中の神経細胞が刺激されて人間はめまいを感じます。
 このリンパ液は、体の回転運動に応じて移動するので、通常体の回転なしには半規管は刺激されません。
 ところがこのリンパ液の中に、耳石器から剥がれた石が転げ込むと、さて、どうなるでしょう?
 石はリンパ液より重たいので、重力がかかると、半規管の中を動く可能性があります。

An:
 体が回転しなくても、半規管の神経細胞が刺激されるんですね。
 そうすると三好先生、首をひねっただけで人間はめまいを感じるんじゃないでしょうか?

Dr:  
 朝目覚めて、枕から頭をあげようとした瞬間、あるいは高い所にあるものを取ろうとして首を上にひねった瞬間、そして靴ひもを結ぼうとして軽くうつむいた瞬間などに発生する、世界中がグルッと回ってしまう死にそうなめまいが、そのせいで起きるわけです。
 なぜそうした瞬間にめまいが生じるのか、それは半規管の方向に原因があります。

An:
 三好先生。三半規管は確か、X軸方向・Y軸方向・Z軸方向と、それぞれ立体的に90度違う方向に位置しているってお話でしたよね?

Dr:
 3つの半規管にはそれぞれ名前がついてまして、「前半規管」・「水平半規管」・「後半規管」と言います。

An:
 分かりました、三好先生! 「水平半規管」って、もしかしたら横向きに付いているんじゃありませんか?

Dr:
 頭の良い人のことを、「1を聞いて10を知る」って褒めますけど、江澤さんはサエわたっていますよね!

An:
 それで「前半規管」は前にあって、「後半規管」が後ろにある……。

Dr:
 前回のお話で、位置的な理由から耳石器の石は後半規管に入りやすい、とご説明しました。この後半規管は耳石器より後方に位置していて、左右それぞれの耳たぶとおんなじ方向を向いています。形も、似ているんです。

An:
 耳たぶのふちの部分と同じような、丸い形をしている……。

Dr:
 その一番奥、いわば底に相当する部分に後半規管の神経細胞が、存在します。
 そして、耳たぶとおんなじ形をしている半規管の内側のリンパ液に、耳石器の石が浮かんでいます。
 この浮遊している石が、もっとも後半規管の揺さぶられやすい姿勢を、人間がとったときに、中で動くんです。

An:
 そしたら、後半規管の中のリンパ液も動きますね。

Dr:
 リンパ液が動けば、半規管の神経細胞が刺激されますから、激しいめまいが突然起こります。
 そしてもしも、右側の後半規管のBPPVだったら、右の後半規管の方向は右の耳たぶと同じですから……。
 江澤さん、右側のBPPVの人が右側を下にして頭を枕に沈めたら、どんなことになるでしょう?

An:
 右側の後半規管の中の石が、揺さぶられますね。あぁ、だからめまいが……。

Dr:
 そうです。世界中がグルグル回るめまいが、その瞬間に発生するんです。

An:
 と言うことは逆に、右下向きに頭を枕に付けて寝ていたら、起きる瞬間にめまいが……。

Dr:
 寝返りを打ってもグルグル回るのは、そのせいなんですよ。

An:
 三好先生! 本日は、本当におもしろいお話を、ありがとうございました。
 わたし、地球が回っている理由まで、分かっちゃったような気がします。

Dr:
 それじゃ次回は、その解決法について、ご説明します。

 

めまいについてはこちらもご覧下さい。
 URL:https://www.3443.or.jp/dizz/index.html (めまいの方へ)

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