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2021年12月(No.322

 

小児の中耳炎シリーズ②
ラジオ3443通信「中耳炎の種類」

 

ラジオ3443通信は、2010年から毎週火曜10:20~fmいずみ797「be A-live」内で放送されたラジオ番組です。
 ここでは2012年6月12日OAされた、耳鼻咽喉科にまつわる病気の話題を分かりやすく、歴史や時には意外な観点からの話題を交えてご紹介いたします。

76 中耳炎の種類

An:
 三好先生、前回のお話では中耳炎には、急性中耳炎・慢性中耳炎・滲出性中耳炎という3つのタイプがある、と伺いました。急性中耳炎は、風邪からバイ菌が鼓膜の内側に入って腫れて、すごく痛むもののことですね(図1)。それに対して慢性中耳炎は、鼓膜に穴が開いてしまっていて、ときどきウミの出て来るタイプでしたよね。先生、急性中耳炎は名前のように、急激に起こって、わりと早くおさまっちゃうんでしょうね? 大体、どれくらいの期間で、治るものでしょうか。

図01

 

Dr:
 風邪が流行っていたり、秋から冬にかけての寒くなって行く時期には、続けて2~3回急性中耳炎になっちゃうこともありますが、まぁ1週間から10日程度でおさまっちゃいますよね。そもそも病気の名前で、「急性」って名称が付いていたら、3週間以内で経過する病気のことです。

An:
 それじゃ、「慢性」って、どれくらいの経過なんですか?

Dr:
 病気としては、3ヶ月以上経過するものに「慢性」の病名の付く、ということになってますが。相手が人間の体ですから、言葉通りには行かないことも、時々あります(笑)。

An:
 今日まで急性だった病気が、明日っから慢性になるってのもなんだか(笑)。ピンと来ないような気もします。それから、第三の中耳炎である滲出性中耳炎については、どんなものでしょうか。

Dr:
 滲出性中耳炎では、鼓膜は正常なんですけどね。鼓膜の内側に、水みたいな炎症性の液体が貯留して、鼓膜の動きが鈍くなるんです(図2)。

図

 

An:
 それじゃ、鼓膜は聞こえた音に応じて細かく動くことが、できなくなりますね。たしか鼓膜内外の気圧がおんなじじゃないと、音波は鼓膜にうまく伝わらないって、お話を伺いました。でもその鼓膜の内側の液体って、どうしてたまっちゃうんですか? どこから来る(笑)んでしょうか。

Dr:
 大抵は風邪なんかで、軽い急性中耳炎になりかけて、そのままおさまってしまったり。自分じゃ気が付かないうちに、軽い炎症が中耳腔つまり鼓膜の内側のスペースに、居着いてしまう。そんな機序で起こると、考えられています。
 ただ、この滲出性中耳炎は小さな子どもと、お年寄りに多いのが特徴です。子どもでは自分の耳が聞こえづらくなっても、本人が気付かないことも少なくありません。お年寄りでも、もともと耳が遠くなりかかっていたり、滲出性中耳炎による聞こえの悪化とは分かりづらい面もあります。

An:
 小さな子どもとお年寄りに多いって、なんか理由があるんでしょうか?

Dr:
 以前にもお話しした耳管という、鼻の奥・のどの上から中耳腔に繋がる管が、鼓膜の内側すなわち中耳腔の換気を担っていまして。えぇっと江澤さん、建物の中の部屋でもドアを締め切っていると、空気の入れ替えができなくって、なんとなくジメジメするじゃあないですか。

An:
 します、します。

Dr:
 中耳腔も、事情は同じなんですよ。耳管の調子が良くって、鼻やのどの気圧に応じてときどき開閉していると、中耳腔の換気がうまく行くので。

An:
 中耳腔は、あまりジメジメしないんでしょうか?

Dr:
 まぁそれは、例え話なんですけどね。現実に換気が良くないと中耳腔には、炎症性の液体がたまってしまいます。そうすると、耳が詰まったような塞がったような、なんとなく抜けないような。そんな不愉快な感じがして、聞こえがにぶくなります。

An:
 子どもやお年寄りは、その換気があまり良くないんでしょうかしらね?

Dr:
 子どもの耳管の、のど側の入り口には、アデノイドと称するリンパ組織があります。これはいわゆる扁桃腺と同じく、ごく小さな子どもの体の、免疫に関わっている部分なんですけど。その名残が大きいまま、耳管を塞(ふさ)ぐ形でのどに残存することがあります。それもほとんどが、4~5歳をピークに目立たなくなるんですけどね。でも子どもは、のど自体が狭いから。

An:
 そのアデノイドが小さくなっても、耳管の狭いこともあるんですね?

Dr:
 それで子どもでは、滲出性中耳炎が治りにくいんですよ。

An:
 お年寄りの場合は、どうなんでしょうね?

Dr:
 耳管も、そこに付いている筋肉の働きで開くんですけどね。年齢とともに、体全体の筋肉がくたびれて来ると……。

An:
 そうか、耳管を開く筋肉も痩せて来るんですね。

Dr:
 体全体も筋肉の力が衰えると、動かしにくくなります。

An:
 耳管も開きづらくなるんでしょうね。

Dr:
 ですから、お年寄りの耳の遠い場合には、年齢的なものだろうと勝手に解釈して、放置しちゃいけないんです。加齢による難聴だけじゃなくって、滲出性中耳炎による悪化も考慮しなくっちゃ、いけませんからね。

An:
 滲出性中耳炎の聞こえの悪化は、治療で良くなるんですね?

Dr:
 鼓膜の内側の液体を、換気つまり空気の入れ替えでサッパリさせてやると、鼓膜の動きが改善し聞こえも良くなります。

An:
 それじゃ、お年寄りの耳の遠い場合は、やっぱり専門医で診てもらう方が……。

Dr:
 少しは、「耳より」なお話が聞けるかも知れませんね(笑)。それに滲出性中耳炎を治療した後の、老人性の聞こえの悪化も、補聴器の適合検査などで対応できますし、ね。

An:
 それはさすがに、専門家以外には難しいかも知れませんね。

Dr:
 後日お話ししますけれども、補聴器もその方にピッタリ合った機器を、専門医で選択しないと使いこなしは難しいんです。

An:
 ぜひそのお話も、お聞きしたいです。

Dr:
 ゆっくり・じっくり・楽しく、お話を進めたいと思います。ありがとうございました。

 

院長監修の医学コミック「中耳炎世界の冒険」もご覧下さい。

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