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2022年1月(No.323)

 

耳のお話シリーズ③
ラジオ3443通信「3・3(みみ)の日とひな祭り③」

 

ラジオ3443通信は、2010年から毎週火曜10:20~fmいずみ797「be A-live」内で放送されたラジオ番組です。
 ここでは2014年2月25日OAされた、耳の日の話題をご紹介いたします。

143 3・3(みみ)の日とひな祭り③

An:
 三好先生、前回は3月3日が雛祭りだけじゃなくって、先生の副業(笑)である耳鼻咽喉科領域でも、耳の日と称して大切な日にちであること。それは、3と3でミミと呼ぶからという関係に加え、グラハム・ベルという聴覚関係の研究者の誕生日だったから、ということも教えて頂きました。
 このグラハム・ベルは、結果的に電話機の発明に携わったわけですけれども、本当は自分の家族に難聴者が多かったので、補聴器を製作しようとしていた、と伺いました。
 音を伝える機械という意味では、電話機も補聴器も関係はありますが、結果的にその効果はかなり違うものになってしまった。そんな気がします。

Dr:
 どちらも、コミュニケーションのための道具ではありますけれど、ね(笑)。
 電話機は、遠くへ音を伝える機器であり、補聴器は小さな音を大きく聞かせる機器、ということですから。
 せっかくの耳の日です。これをきっかけに、耳の聞こえの悪さつまり難聴について、少しお話をしましょう。

An:
 以前にも先生から、難聴という病態は、想像以上に大変なことが多いって、お聞きしていました。
 具体的には、どういうことが問題なんでしょうね。

Dr:
 難聴に伴う社会的なハンディについては、のちほどご説明しますが。今回は、ごく初歩的な話題です。
 江澤さん。難聴者、すなわち耳の聞こえない、あるいは耳の遠い人に対しては、江澤さんはどんな配慮をしてますでしょう?

An:
 耳が十分聞こえてないんですから……。大きな声で話し掛けるとか。そんな心がけが必要かと。

Dr:
 江澤さん。座布団1枚、減っちゃいましたよ(笑)。

An:
 エエッ、先生、そんなぁ(笑)。

Dr:
 難聴という状況に関して、一番単純な、しかしそれだけになかなか容易に理解してもらえない勘違いが、大きな声なんです。

An:
 それは先生、どうしてでしょうか?

Dr:
 理由の第一は、耳の聞こえの悪さにはいろいろなタイプがあり、そのタイプによってまるで聞こえ方が違うってことです。

An:
 つまり?

Dr:
 例えば、高齢者になると誰しも耳が遠くなります。でもこの場合、高音域つまりカン高い音域から耳の聞こえが鈍くなるものなんです。

An:
 具体的には、先生。どういう風になるんでしょうね。

Dr:
 まず男性では、ご自分の奥さんの声が聞こえにくくなります。

An:
 愛する奥さんの天使のような声が、ですか(笑)?

Dr:
 別に奥さんが嫌いになったわけじゃなくって、ましてや奥さんから逃げ回っているなんてことはありません。

An:
 それじゃ、どうして?

Dr:
 奥さんの声は一般に、男性のそれに比べて高音域に主成分があります。

An:
 声が、カン高いってことですよね。

Dr:
 そうすると、高い音域の苦手な高齢者には、その声が聞こえにくいんです。
 どんなに麗しい声でも、高音域は感知しづらいんですから。

An:
 本当に、物理的に耳で聞き取りにくくなっているんですね?
 でもそんな事情、奥さんには判らない。

Dr:
 外から見ても、とくに変化はありませんから。そうとは、なかなか判ってないんです。

An:
 奥さんはきっと不思議に思うでしょうね。

Dr:
 もう1つ。高い音域が苦手になると、話し掛けられたときに、話の内容がまるで理解できない。一見、奇妙なことも起こります。

An:
 エッ、どうしてですか?

Dr:
 それは言葉の音の、構成成分の問題です。

An:
 と言いますと?

Dr:
 例えば「アイウエオ」といった母音は、成分が比較的低い音域にあります。

An:
 高齢者でも、聞き取り易いんですね。

Dr:
 でも「サシスセソ」などの子音は、成分が高い音域にあります。

An:
 高齢者では、「サシスセソ」が聞こえにくいんですね。

Dr:
 そうすると会話のやりとりなどで、話の最後に「そうした」のか「そうしなかった」のか。つまり話全体がイエスなのかノーなのか、決定的な部分を聞き落とすんです。

An:
 話をしていて、肯定しているのか、否定しているのか。
 話の最後の、「そうした」のか「そうしなかった」のか。そこは一番重要ですよね!
 会話の意味が逆転しますから。

Dr:
 ですから、話をされていることは判りますが、会話そのものの意味が、理解できなくなります。

An:
 それじゃ、会話全体がそもそも成立しせんよね!?

Dr:
 途中までは、話の内容が判るのに、最終的に話し手の真意が伝わらない……。

An:
 それじゃ困っちゃう。

Dr:
 ですから、そんな耳の性能の変化の生じた高齢者を相手にしたときに……。
 江澤さん。大きな声で話し掛けても、江澤さんの思い通りの効果が期待できるでしょうか?

An:
 先生、それは少し難しいような気がしてきました(笑)。

Dr:
 その他にも、年齢による耳の性能の変化は多彩で、配慮すべき点がいくつかあるんですよ。

An:
 先生、お時間です。耳の日のお話、続きは次回のお楽しみです。

Dr・An:
 本日はありがとうございました。

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