3443通信3443 News

2022年2月(No.324)

げんき倶楽部杜人ラジオレポート
ラジオ3443通信~難聴と中耳炎~

図01

耳・鼻・喉に関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」の三好彰院長は、耳鼻咽喉の診療に携わって45年。今回は2014年6月にfmいずみで放送された内容を紹介します。
[An.…江澤アナウンサー、Dr.…三好院長]

難聴と中耳炎

●An.
 三好先生、耳の聞こえの悪化「難聴」には「伝音難聴」「感音難聴」「混合性難聴」の3タイプがあるんでしたね。

●Dr.
 それぞれ、実際にはどんな形の聞こえの悪さ、でしたっけ?

●An.
 外耳と中耳に病気があると、音の物理的エネルギーがうまく耳の神経に届かない「伝音難聴」になります。内耳や聴神経に病気があると、音の電気信号が脳にちゃんと入っていかない「感音難聴」となります。

●Dr.
 さすがは一を聞いて十を知る江澤さん。

●An.
 老人性難聴は内耳から奥に原因があって、耳の聞こえが悪化しますけれども、例えばそれに中耳炎が一緒に発生することだって、ゼロじゃありません。人生、いろいろですから(笑)

●Dr.
 その逆も、ありましたよね?

●An.
 今ではあんまり見かけませんけれども、昔は「ハナ垂れ小僧さん」、耳垂れのある子どもも確かにいたと。

●Dr.
 耳と鼻は裏側でつながっていますから。

●An.
 「耳管」っていう柔らかい管が鼻の奥、喉の上から中耳腔に延びていて、ハナ垂れの青っぱなのばい菌が喉の炎症そのままに中耳腔に入り込み、結果的に中耳炎になっちゃう。

●Dr.
 そんなわけで、昔は多かった中耳炎。しかしその頃、中耳炎程度では病気扱いしてもらえなかった。

●An.
 こじらせて慢性化することも!?

●Dr.
 そうすると有害なばい菌を耳の中で飼育しているようなもので、毒素が内耳の神経に波及し、神経の性能を低下させることもありました。

●An.
 この場合、中耳炎の鼓膜の穴のために「伝音難聴」が最初に生じ、加えて中耳炎のばい菌の毒素のために内耳の神経の感度も鈍くなります。

●Dr.
 それは感音難聴ですもの、ね。

●An.
 伝音難聴プラス感音難聴になってしまい、最終的に「混合性難聴」の状態となります。

●Dr.
 老人性難聴に中耳炎を合併することがあって、これも気付かれにくい。その中耳炎が以前、話題として取り上げた「滲出性中耳炎」なんです。

●An.
 あまり耳が痛くならないタイプの中耳炎だったような?

●Dr.
 鼓膜の内側に、水みたいな炎症性の液体が貯留して、鼓膜の動きが鈍くなるんです。

●An.
 音波を受けても鼓膜は、それに応じて細かく動くことができなくなっちゃうんですね?

●Dr.
 小さな子どもとお年寄りに多いのが特徴なんですが、原因は子どもとお年寄りで、だいぶ違ってきます。子どもでは、鼓膜内外の気圧調節をして鼓膜が振動しやすいように働く耳管の付け根に「アデノイド」と呼ばれるリンパ組織があって。

●An.
 それが耳管をふさいで空気の入れ替え、換気を悪化させるんでしたね。

●Dr.
 お年寄りは耳管を開閉させる筋肉の筋力が衰えて、やはり換気が悪化します。

●An.
 アレッ。そうするとお年寄りでは、老人性難聴に滲出性中耳炎が併存して、聞こえは?

●Dr.
 一層悪化しがちです。重要なことは「滲出性中耳炎による聞こえの悪化は、治療で改善できる」ということ。

●An.
 「年齢による聞こえの悪化」と諦めずに、耳鼻科医で診察を受けることが必要。そのためにはご自分で時々、聞こえの変化をチェックする。そんな心構えが重要なんですね。

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