3443通信3443 News

2022年4月(No.325)

イタリア渡航記レポ

秘書課 菅野 瞳

 

はじめに

2022年2月初旬、院長が評議員を務める仙台日伊協会の方から、協会広報誌への記事の提供をお願い出来ませんか? と直々にお電話がありました。
 コロナ禍にあり、なかなか海外への渡航が難しくなっている時期なので、是非イタリア渡航記を書いて頂けると有難いですとのこと。
 人助けが趣味な私?(笑)ですから、お役に立てるならばと院長に直談判。二つ返事で許諾を頂き、いざ筆を持つもついてこない私の記憶……(汗)。

院長からは「ピッツァ? パスタ? を食べれば、記憶も蘇ってくるでしょう」との助言を頂き、ピッツァ片手に渡航記を認め始めました。

薄れていた私の記憶ではありますが、舌は忘れていなかったのでしょうか(笑)。流石院長! 恐れ入りました。
「折角ですから3443通信にも掲載しましょう」という院長の一声がありましたので、日伊協会の広報誌(図1)より転記させて頂きます。

図01
図1 日伊協会の広報誌

自由な個人旅行

協会の皆様、大変ご無沙汰をしております。ひと昔前の話になりますが、私のイタリア渡航記をお伝えします。

私の海外旅行は、いつでも旅行会社を通さない個人旅行なので自由自在、言い換えれば好き勝手に行き先、ルートを決めます。世界遺産巡りが大好きなので、そこは抜かりなくしっかりおさえますが、あとは現地の方にお勧め場所を伺ったりして穴場を見つけ、旅を楽しんでいます。
 昨今はコロナ禍にあり、なかなか渡航も難しくなっていますが、またいつの日か、まだ見ぬ世界遺産を求め旅に出るその時を夢見て、今は思い出話を綴ります。

イタリア共和国は、世界で一番世界遺産保有数が多い国として知られていますが(58個)、その中で私が最も訪れてみたいと思った世界遺産。それは、1997年に世界遺産登録され、映画の舞台にもなった「アマルフィ海岸」と「青の洞窟」です。

世界一美しいアマルフィ海岸

アマルフィ海岸(図2)は、世界で最も美しい海岸と称されています。陸路で行く方法、フェリーを利用する方法と、アマルフィへの行き方はそれぞれですが、私は往路をフェリーで、復路を鉄道利用で出向きました。折角ならば両方を使おうではありませんか! これが、私です。決してひねくれている訳ではありません(笑)。

図02 アマルフィ海岸
図2 ティレニア海を臨むアトラーニの街並み

 

ボートがアマルフィ海岸に近づくにつれ、私のテンションが爆上がりしていったことを、今でも鮮明に覚えています。アマルフィの海岸線は道が狭くカーブが続き、断崖絶壁の上から眼下を望むと一瞬にして心を奪われる景色が広がっています。カラフルに彩られた民家の美しい街並みや、レモンやブドウの段々畑なども相まって、どこを見渡しても全てのフレームが一枚の絵画のような景色に出合えます。

改めて思い返してみると、一晩だけでもアマルフィに宿泊して、沈みゆく太陽と、海岸から昇る朝陽を見れば良かったなと思っています。決して絵を描くことが得意な私ではありませんが、またアマルフィへ足を向けた際には、是非絵の一枚でも描いて来ようかなと思います。ちょっと懸念されるのは、自分が描いた絵を見て、私自身がアマルフィを嫌いにならなければ良いなという点です(笑)。

神秘の青の洞窟

そしてアマルフィに負けず劣らずの感動を与えてくれたカプリ島にある「青の洞窟」。皆さんもご存知かとは思いますが、この洞窟は目の前まで辿り着いても、必ずしも入洞出来る訳ではありません。日頃の行いが決して良いとは言えない私ですので、一度のトライで入洞出来るものか?
出来なかった際の言い訳まで考えておいた方が良いのではないか? などと、良からぬ思いまで巡らせ、洞窟行きの船に乗り込みました。

青の洞窟に入洞出来ない日があるのは一体何故なのか。人々を魅了するこの洞窟は入口が幅2m、高さが1mしかありません(図3)。

図03
図3 予想以上に狭い”青の洞窟”の入口

 

少しでも水位が高くなってしまうと、この僅かな入口は塞がれてしまいます。天気がどんなに良かろうと、多雨のため水位が高くなる時期、波を起こす風が強い時期は、折角出向いても残念な結果になる確率が高いのです。さて意を決して出向いた私は……やはり日頃の行いがよほど、よほど良いのでしょう(笑)。

青の洞窟の目の前で、モーターボートから船頭さんが漕ぐ小舟に乗り換え、いざ洞窟内へ侵入です。チップを受け取った船頭さんが、慣れた手つきで小舟を漕ぎだします。入口手前までくると、リンボーダンスの姿勢をとって! と指示がありました。

「—―えっ???」

舟にそのまま座った状態では、洞窟内への侵入が出来ないという、そんな狭さです。腹筋に力を込め無事入洞すると、どこからともなく船頭さんの歌声が……洞窟内に響く歌声が素敵なBGMになるのかと思いきや、あれ? 洞窟内には他にも小舟がおり、船頭さん同士の歌声がケンカをしてしまっているかのような状態。これには流石に参りました(笑)。
 せめて互いの歌声をハーモニー? 輪唱? にでもして頂けると、青の洞窟の雰囲気を盛り上げる、素敵なBGMになるのではないかと思いました。やはりこういった体験は、その場に行ってこそのものであり、出向く前に「地球の歩き方」で一生懸命調べても出てくることはないであろう、貴重な経験でした。

青の洞窟が醸し出す、言葉では表現することが出来ない、あの“青”“碧”色(カプリブルーと呼ばれるようです)。あの幻想的で優雅な空間は、自然界の宝だなと思いました(図4)。

図04
図4 言葉では言い表しきれない神秘の景色

 

数年後にはイタリア中部の世界遺産、フィレンツェを訪問した私ですが(3443通信No.296に掲載)、まだまだイタリアには、人々を魅了して止まない世界遺産が沢山あります。協会の方にもお勧めの場所などを教えて頂き、今後のイタリア旅行の参考にさせて頂ければと思っています。

各国で蔓延しているウィルスが落ち着いた際には、イタリアの首都ローマへ飛び、映画「ローマの休日」のアン王女(オードリー・ヘップバーン)が食べた有名なジョリッティのジェラートを、是非スペイン坂で味わいたいと思います。

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