3443通信3443 News

2022年5月(No.326)

難聴児・者が困っています!!
医療従事者向けのマスクアンケートを実施しました1


はじめに
 以前、3443通信321号(2021年11月)では、長引くコロナ渦の対策としてマスク装用が日常化したいま、相手の表情や口元の動きが見えないために困惑している難聴児・者の実態を調査した「難聴児・者に対するコロナ対策マスクアンケート」をご紹介しました。

今回は、その第二弾として医療従事者向けのアンケートを実施しました。
 これは難聴児・者へのアンケート結果を分析した際、医療機関などにおける難聴者対策が浸透していないとの回答が寄せられ、もしかして医療従事者にも難聴者の困惑する実態があまり知られていないのではないかと思った事がきっかけです。
 ここでは、当院に通う難聴患者さまと当院スタッフに前述のアンケート結果を読んで貰った、その感想をご報告していきます。

1.補聴器外来の難聴患者様1より
 
口元が見えないので、隣に座る人の声が聞きにくい。またデイ・サービスなどで名前を呼ばれても聞き取れず、動作を見て判断せざるを得ないことがある。
 大きな部屋に集まってマイクで話されたことがはっきりしない(スピーカーの音声)。
 表情が分からないので、伝えたいことが最小限になってしまう。その最小限のことも聞き取れないこともある。
 郵便局で「普通郵便」か「速達」かを聞かれても聞き取れなかった。

2.補聴器外来の難聴患者様2より
『分かってもらえない』という文章に大変同意する。これが最大の問題だと思う。
 マスクをするようになる前から感じてはいたが、ますます実感するようになった。聞き直すことに辛さがあり、毎回何度も聞き返すことが困難になる。

小学生の孫たちと遊ぶとき、何気ないやり取りがうまくいかない。会話のキャッチボールが続かずそれを指摘されると、言葉にこそ出さないが傷付くものである。楽しみだったやり取りがやたらと残念な物になってしまうことがある。
 聞き損じてはいないか、聞き逃してはいないかと常にアンテナを張り巡らしていると感じる。そこにマスクのせいで表情から感情を汲み取れない会話は、必要以上に疲れてしまう。

マスクをすると、自分の声が届いていないのでは? と不安になり、つい大声になってしまう。これを他者から指摘されたことがあり、その後の発声の加減が分からずに不安になった。マスクを外すことへの心理的圧迫、外出先での他人の目、“マスク警察”に疑心暗鬼。マスクを忘れるとまるで罪を犯しているかのような……。そんな世間の風潮が不気味だ。

店頭でマスクとシールドに覆われるレジ。想像力が働かない会話が訪れると一気に不安になる。必ず聞かれていた質問でさえ構えてしまうようになった。
 気象庁の会見などで見る口元が見えるマスクは、まるで『カラス天狗』みたいで違和感があり滑稽に見えてしまう。自分では付けたいとは思えないなぁ。

3.総務課スタッフ1より
 マスクをしているために口元が見えず、表情も分からなくなり、相手が何を話しているか分からず情報が伝わりにくいと感じている。そのためコミュニケーションが最小限となり、必要以上に対話が削られているのが現状だ。
 特に障害などでマスクを着用出来ない方が注意を受けたり、冷たい視線を向けられたりするのは、少し考える必要があるのではないかと思った。
 そのため、マスク着用時には特にゆっくりと丁寧に、確実に伝える配慮が必要だと感じた。また、マスクが外せない場合は筆談やジェスチャーなどを用いる。もしくは適切な距離を保ち、マスクを外して口元を見えるようにするなどの対処も必要かもしれない。
 もし対応に困難している様子が見られたら、積極的に「何か困っていることはありませんか?」と、声掛けするようにしていきたい。

4.看護課スタッフ2より
 コロナ渦がはじまり2年が過ぎ、マスク装用が当たり前となりました。マスク装用で発音が不明瞭になるうえに口元が見えないことで難聴児・者の方の会話が、より不自由になっていることは想像していました。
 しかし、難聴児・者に対するコロナ対策マスク装用の影響についてのアンケート調査を拝読し、大勢の中にいて、誰が声を発したのか分からない、口元が見えず読話も出来ず、さらには表情まで読み取れないといったことや、コンビニでの「箸の要・不要」などのちょっとした問い掛けに不自由している実情までは思い至っていなかった事に気付かされました。

長年、耳鼻科で勤務し、難聴者に対して声を大きくするだけでなく、ゆっくりはっきり発音する、口元を見せるように話す、左右聞き取りやすい方を意識する、大事なことは筆談も使用し正確に情報を伝えるようにするなどして対応してきました。
 しかし、今回のアンケートからも分かるように難聴児・者が、様々な場面で苦労を強いられていることを、勤務を離れた場所で、自分がどれほど意識しているかというと、お恥ずかしい話ですが、ほとんど意識できていないと思います。
 何故なら、考察でも述べているように難聴は目に見えない障害で、外観からは認識できないことによるものという事が大きいと思われます。耳鼻科で勤務していてもそうなのですから、一般の方もあまり意識できていないのではないでしょうか。

もし、すぐに気付いてあげられれば、そこに配慮して対応することも当たり前のように皆が出来るようになると思います。どのように対応したらよいかも普及し、頼まれなくてもマスクをずらし、口元を見せる、ジェスチャー入れる、筆談やスマホなどを利用するなどでコミュニケーションを取っていくことは容易になると思います。さすがに不特定多数の人が透明マスクを使用するのは難があるでしょうが、場面・場面(講演会などで演者が使用するなど)利用することは可能かと思います。

そのためにも耳マークの普及や認知の徹底は必要だと感じます。耳マーク自体はまだまだ認知されているとは言えないのが現状だと思われます。難聴児・者の方には抵抗があるのかもしれませんが、もう少し分かりやすいものにするのも良いのではないかと考えます(妊婦さんが、カバンに付けているバッチのようなもの)。
 人と接する時、障害の有無に関わらず、その人が困っていないか、どう感じているのか察してあげられるように思いやりを忘れないようにしたいものです。
 最後に、早くマスクなしで会話して、笑いあえる世の中になることを願うばかりです。

 

当院では、図1のような口元が見えるマスク(顔がみえマスク|ユニ・チャーム)や、音声を文字に変換するアプリなどを併用(図2)して、難聴児・者の患者さんに対応するよう心掛けています。もし聞き取りが難しいなどありましたら、お気軽にスタッフにお声掛け下さいね。

図01
 図1

図01
 図2

お気軽にお声をおかけください
【総務課】 青柳 健太【総務課】 田中 啓二郎【秘書課】 菅野 瞳
 総務課・秘書課

図02図04図03図05図06【看護課】 井戸向 洋子
 看護課

【医事課】 髙橋 明日美【医事課】 三浦 紗智美【医事課】 成田 なな【医事課】 高橋 彩乃【医事課】 伊藤 杏華【医事課】 鈴木 真由美
 医事課

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