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2022年6月(No.328)

耳のお話シリーズ⑧
ラジオ3443通信「難聴の種類1」

 

ラジオ3443通信は、2010年から毎週火曜10:20~fmいずみ797「be A-live」内で放送されたラジオ番組です。
 ここでは2014年5月20日OAされた、耳の聞こえについてご紹介いたします。

148 難聴の種類1
An:
 三好先生、前回までは難聴つまり聞こえの悪い状態について、主にお年寄りの年齢的なそれを中心に、お話を伺って来ました。
 でも先生のご説明では、難聴にはさまざまの種類があって、一口では形容し切れないとのことでした。
 先生、難しくってなかなか理解しにくいのも判りますが、もう一口ずつで結構ですので、解説の続きをお願いしたいんですけど。
Dr:
 私は江澤さんのおねだりには、非常に弱いので……。
 続きです(笑)。
An:
 先生、難聴の原因として先生がおっしゃった中で、滲出性中耳炎の話題がこのOAの80回で出てきました。
 老人性難聴と合併すると、余計に聞こえが悪化するとも伺いましたけれど、具体的にはどんな風に悪くなるんでしょうか?
Dr:
 さすがは江澤さん。それは、とっても重要な質問です。
 難聴には、大きく分けて2種類あります。1つは、伝音難聴もしくは伝音性難聴と呼ばれる、中耳炎のような聞こえの悪さ。
 もう1つは、感音難聴あるいは感音性難聴と称する、老人性難聴のような聞こえの悪化です。
 もちろん、この両方の重ね合わさった混合性難聴と名付けられたタイプもあります。
An:
 先生、それは実際にはどんな難聴なんでしょうか。
Dr:
 江澤さん、人間が耳で音を聞く場合、耳から入った音はどこへ届くでしょうね?
An:
 やっぱり最終的には、脳に到達するんだろうと、江澤は思います。
Dr:
 江澤さんは、耳って言葉は人体のどの部分を示すんでしょう。
An:
 それは先生、耳たぶなど外へ出ている部分のことが、真っ先に頭に浮かびます。
 ウサギさんのお耳、なんてことも連想しますし。
Dr:
 医学用語では、耳介(じかい)と呼びますが、ウサギのたとえで判るように、これは集音器の1種ですね。
An:
 そう言えば「耳を聳(そばだ)てる」なんて表現もありますし、ひそひそ話のときなどは耳たぶに手のひらを添えることもあります。
Dr:
 その耳介で集めた音は、耳の穴へと入って行きます。
An:
 耳掃除のときにいつも考えるんですけど、耳穴ってどれくらいの深さなんでしょうね?
Dr:
 成人では耳の穴、これを外耳道(がいじどう)って呼ぶんですけど、大体 3.5㎝くらいあります。
An:
 耳かきはそれ以上、深くさしこんではマズイですよね(笑)。
Dr:
 キズがついちゃいますからね(笑)。
 それについても、後ほどお話しますから。
An:
 外耳道の奥には? 先生。
Dr:
 46回目のOAで話題にした、鼓膜が存在します。
An:
 空気の振動である音を感じて、細かく振動するんでしたね。音は音波、fmいずみのお仕事です(笑)。
Dr:
 鼓膜の裏側、そこのスペースを中耳腔って言いますが、鼓膜に連なる3つの小さな骨があります。
An:
 音の物理的振動は、鼓膜からその骨に伝わるんでしょうか?
Dr:
 この3つの骨は耳小骨って呼ばれるんですけど。音は、この3つの骨を伝わって内耳に到着します。
An:
 その骨は、音の繊細で微妙な振動を伝えるんですから、すっごく小さな骨なんでしょうね?
Dr:
 内耳に一番近い位置にあるアブミ骨という骨は、人間の体でもっとも小さな骨で、その高さは3.3㎜しかありません。
An:
 内耳ってたしか、めまいの原因として有名なBPPVの、三半規管のあるところだったような気がします。
Dr:
 さすがは江澤さん。ここまで触れてきたように、耳は耳たぶだけでなく、外耳・中耳・内耳と3つの部分からなっています。
 そして内耳にはめまいを感じる三半規管、体の方向を感じ取る前庭、そして音を感じる蝸牛すなわちかたつむり管が存在します。
An:
 アレッ、先生。音は、外耳と中耳までは「伝わる」もので、内耳では「感じる」ものなんですか?
Dr:
 そこに気が付きましたか、江澤さん。鋭いですね。
 音つまり音波の振動は、外耳と中耳までは揺れの物理的エネルギーなんですけれども。内耳ではそれを電気的エネルギーに換えて、電気信号として脳へ送るんです。
An:
 脳は、聴神経などの神経を介して、電気信号を感じ取るわけですね。
 聴神経のことは、このOAの5回目に教えて頂きましたものね。
Dr:
 こうした聴覚に関する体の構造は、音を伝える部分と、音を感じる部分とに別れています。
 前者すなわち音を伝える外耳と中耳を、音を伝えるシステムという意味で、伝音機構と言います。
An:
 それじゃ後者、つまり音を感じる部分は感音機構ですね!
Dr:
 その通りです。ですから難聴は、外耳もしくは中耳の病気で生じる伝音難聴と、内耳あるいはそこから脳に至る神経に原因があって発生する感音難聴と、その両者の重なった混合性難聴とに分類されます。
An:
 その難聴の分類って、現実の生活場面ではどんな違いになるんでしょう?
Dr:
 耳の病気の種類によって、聞こえの悪さのタイプと程度は異なります。
 耳の不自由な人の場合も、その原因となる病気によって、聞こえ方が違いますから。
An:
 それじゃ耳の病気の知識は、耳の不自由な人に対応するためにも、最低限必要ですね。
Dr:
 お話は続く、です。お楽しみに!
Dr・An:
 本日は、ありがとうございました。

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