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2022年8月(No.330)

 

朝のスタッフ勉強会②
アレルギーと花粉症のお話3
~医学コミック8巻「愛しのダニ・ボーイ」より~

コミック⑧ 表紙【構成用】


引き続き
 当院では朝礼時にさまざまな資料を用いて、接遇や医学・医療についての勉強会を行なっています。ここでは、いま使用している院長監修のアレルギーに関する医学コミック「愛しのダニ・ボーイ」、その解説についてご紹介致します。
 なお、解説含めたマンガも当院ホームページで無料閲覧できます。

7.ワイルド・スワン
 19世紀の英国や第二次世界大戦後の日本のようにハゲ山をこしらえ、その結果引き起こされた水害のために山々に木々を植えようとしている国があります。
 それはなんと日本のお隣の国、中国です。
 中国でも、英国や日本のように木々を切り倒してしまった時期があります。それは1958年の大躍進のときのことです。その折中国では世界の一流国に肩を並べるべく、毛沢東の号令の下で粗鋼の生産量を上げようと、狂奔状態に陥ったことがありました(図1)。

図01
 図1


 中国の全人民は、このために家庭の鉄製品をすべて溶かして粗鋼として国家に提出せねばならず、その燃料として山々の木々を使い尽くしました。その模様はあの『ワイルド・スワン』にも書いてありますが、中国全土はほとんどハゲ山だらけとなってしまいました。

 中国でも日本と同じことが起こります。保水機能のないハゲ山の下流の長江(揚子江)が、大洪水を起こしたのです。
 1998年の新聞には、人民解放軍兵士を指揮した江沢民主席の大氾濫に立ち向かっている姿が報道されましたが、あの長江の大洪水だって、大躍進の結果と表現できなくはないのです。

 そして中国は水害対策として、これまた日本と同じように山々に木々を植えました。その植林された木々の中に、これまたなぜか日本と同じくスギの木が多数混じっていたとされるのですが、スギがわざわざ選ばれた経緯については、実は良く分かっていません。

8.太極拳とスギ植林
 英国で世界初の花粉症が見つかったのは、軍艦製造のためや燃料としての使用目的で木材を切り倒し、その跡にカモガヤが生えて来たためであったと、述べました。
 また近年の日本でスギ花粉症が激増したのは、戦後復興のために山々の木々を切り倒して、そこへ全国一斉にスギやヒノキを植えたためであったと、記しました。
 ところが愚かにも、これら英国や日本の花粉症増加の経緯をたどるみたいに、スギの植樹をどんどん進めている国があります。

 それがつまり日本のお隣の国家、中国なのです。

 それにしても中国ではなぜ、さまざまある樹木の中から、花粉症の原因となり得るスギの木を選んで植樹したのでしょうか。他のいかなる樹木でも、治水治山の目的には不自由しなかったでしょうに。

 私たちは中国共産党揺籃の地である井崗山の光景を見たとき、そのなぞが解けたような気がしました。
 なぜならこの井崗山は全山がスギに覆われており、当時の毛沢東の寓居(ぐうきょ)だってスギ林の目前に建っています(図2)。

図02
 図2


 なお井崗山は、後でもう一度触れますが、孫文没後の国民党軍による共産党虐殺事件の直後に、毛沢東が生まれたての共産党を組織し、立てこもった聖地です(図3)。
 井崗山在住の市民も、スギのある生活に馴染んでおり、スギ並木の下では、お婆さんたちが太極拳に励んでいます(図4)。
 この光景と中国のスギ植林とは、どうやら密接な関係がありそうです。

図03
 図3

図04
 図4


9.スギ植林は「刷り込み」から?
 中国でもスギ花粉症の多発する可能性がある、と書きました。そしてそれは、中国共産党揺籃の地である井崗山に、スギの木がたくさん生えていて、毛沢東とともに革命を戦った若い中国共産党幹部の頭には、その光景が染み込んでいたことと関係がある、と書きました。

 卵から孵ったひなが、目の前で動く物を何でも親だと勘違いし、その後を着いて歩くという話を聞いたことがあります。これをインプリンティング(刷り込み)と称するのですが、若き純真な中国共産党幹部の頭脳に刷り込まれた井崗山の光景が、もしかしたら植樹と聞いたときに、そのまま思い浮かんだ可能性はあります。つまりインプリンティングです(図5、6)。

【インプリンティング】
 卵から孵ったひなが、目の前にあるものを何でも親と勘違いして、後を付いて歩く現象。

図04
 図5

図06
 図6 『動物のお医者さん』7巻より


 以前このコラムに、中国でスギの植樹された理由については、良く分かっていないと記しました。しかしあえて大胆な私の推測を申し上げますが、それは井崗山に毛沢東がこもって中国共産党を確立したその経緯に、などを解く鍵があります。

 それこそが、中国共産党幹部におけるインプリンティング現象だったのです。

 さらに今なおスギは中国において緑化運動の役立つ有用材として、中国各地で植樹され続けています。
 もしかしたら、何年か経つうちに中国でも、スギ花粉症が猛威を奮うようになるのかも知れません。その頃にはスギ花粉症は、日本人だけの国民病ではなくなっているかも知れませんね。

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