3443通信3443 News

2022年11月(No.333)

 

げんき倶楽部杜人 ラジオレポート
ラジオ3443通信~耳・鼻・のどと五感の関係~

図01

耳・鼻・喉に関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」の三好彰院長は、耳鼻咽喉の診療に携わって45年。今回は2014年6月にfmいずみで放送された内容を紹介します。
[An.…江澤アナウンサー、Dr.…三好院長]

「耳・鼻・喉」と五感の関係
●Dr.
 江澤さん。耳・鼻・喉は、実はウラ側でつながっていまして。
●An.
 耳・鼻・喉に「ウラ」があるなんて……江澤は、ちっとも知りませんでした。
●Dr.
 耳・鼻・喉は、人間が呼吸する際に空気や酸素の移動する、構造の一部を成しています。ですから、鼻や喉に狭い部分があって酸素や空気の通過障害があると、気流の流れがスムーズじゃなくなって。
●An.
 まさつ音が「いびき」になるんでしたよね、先生(笑)。
●Dr.
 耳だって空気が充満しているから、ちゃんと聞こえるんでしたよね、江澤さん。
●An.
 音は空気の振動を鼓膜で受け取って、物理的エネルギーとして、内耳に伝えます。
●Dr.
 その鼓膜が軽やかに振動するためには?
●An.
 喉と鼓膜の内側「中耳腔」の気圧が「耳管」という管を通じて、十分に換気されている必要があります。そういえば、耳の働きも気流の流れの影響を受けているんですねぇ(笑)。
●Dr.
 ですから、一見別々の部位に見える耳・鼻・喉も、実は空気の流れでつながっている、一連の組織と考える必要があります。それともう一つ、以前も触れたことがあるんですけど「五感」という観点からも、耳・鼻・喉には関連があるんです。
●An.
 五感って確か「聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚」のことでしたよね。
●Dr.
 聴覚は耳、視覚は目、嗅覚は鼻が担当し、味覚は喉がカバーし、触覚は皮膚感覚がメインですが、喉の内側でも感じます。
●An.
 視覚以外はみーんな、耳・鼻・喉の領域ですねぇ(笑)。
●Dr.
 私のお得意の「めまい」では、耳鼻科医は何を観察して診断するんでしたっけ?
●An.
 先生、それは眼球運動、目玉の動きです。…アレッ、てことは耳鼻科医は視覚も含めて、「五感」を総動員して病気の診断・治療を行っている?
●Dr.
 この五感を感じる人体の感覚器官を、古くは「五官」。すなわち、感覚を人体内に取り込む五つの「管」とも表現したんです。そう言えば中国では今でも、耳鼻咽喉科と呼ばずに「五官科」と名付けられた看板を、見ることがあります。
●An.
 ……ってことは先生。耳・鼻・喉には、こうした典型的な感覚器がそろっている、人体の急所とも考えられますね。
●Dr.
 そうなんです。その耳・鼻・喉を一括して診断・治療を行なう「耳鼻咽喉科」の疾患啓蒙の絶好の機会が、3月3日の「耳の日」なんです。
●An.
 加えて3月3日は、電話機を発明したグラハム・ベルの誕生日でもあります。
●Dr.
 グラハム・ベルはもともと、耳の不自由な人、つまり難聴者に応用できる、独自の「発声法」の言語療法士でした。
●An.
「発声法」って、なんでしょうか?
●Dr.
 なまりの強い発声の身に付いた人や、難聴のためにひずんだ発話習慣になじんだ人でも、しゃべるときの口の形を統一することで明確な発音ができる。そんなアイデアの下、英語に例えれば「下町言葉」を「クイーンズ・イングリッシュ」に矯正したりする訓練です。次回は、そのお話です。
●An.
 本日も、ありがとうございました。

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