3443通信 No.360
三好耳鼻咽喉科クリニック ラジオレポート
ラジオ3443通信「白老町のアレルギー調査」

耳・鼻・喉に関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」の三好彰院長は、耳鼻咽喉の診療に携わって45年。今回は2015年1月にfmいずみで放送された内容を紹介します。
[An.…江澤アナウンサー、Dr.…三好院長]
白老町のアレルギー調査
An.
三好先生は、スギ花粉症をはじめとしたアレルギー疾患疫学調査のため、定期的に中国に行っておられるんでしたよね?
Dr.
私は南京医科大学をベースとして、現在中国各地でアレルギーに関わる調査を実施しています。この調査は、北海道白老町での学校健診を基礎として、1989年に開始されました。国内では白老町だけでなく、栃木県旧栗山村、現日光市でも調査しています。
An.
調査の目的は?
Dr.
私が調査するまで本格的なアレルギー調査は世界中どこにも存在しなかったんです。例えば「スギ花粉症」という病気の頻度、どこで何人がスギ花粉症なのか、基本的な事柄も全く調査されていなかった。
An.
それは一体どうして?
Dr.
花粉症では自覚症状が発生し、自分で病気じゃないかと気付いた人が病院を受診します。自覚症状のない、「病院に行かない人」の数は、よく分かりません。ましてやスギ花粉症の自覚症状は「くしゃみ・鼻みず・鼻づまり」。ご本人が単なる「ハナ風邪」だと判断して、耳鼻科医を受診しないことだって…。
An.
ありそうです(笑)。
Dr.
ある地域の病気の頻度を確実に調査するためには一定の年齢の集団全員に全く同じ検査を実施して。
An.
しかも同じ医師が全て担当した方がより良い結果が得られる?
Dr.
さすがは1を聞いて10を知る江澤さん。私たちは実際にこの2つの地域で、そこに在住する全小中学生にアレルギー調査を施行し、これによって初めて、日本人の花粉症を中心としたアレルギー疾患の頻度が判明しました。
An.
先生が、白老町と栗山村を選んだのはどうしてなんでしょう?
Dr.
以前もご説明しましたが、東北6県の各藩は幕末、ロシアの南下を警戒した江戸幕府の命令で北方警備に当たりました。その際に仙台藩は国後、択捉をはじめ北海道の3分の1を領地としてあてがわれた歴史があります。
An.
思い出しました! 先生のご先祖が蝦夷地警備の責任者として、北海道白老町に仙台藩の陣家を建築されたんでしたよね。
Dr.
三好監物という名前の、私の5代前のご先祖が今の白老町の基礎を築いたわけなんです。
An.
それが白老町と先生の、ご縁の始まりですね?
Dr.
明治100年に当たる1968年に100年前の歴史を掘り起こすブームが起こって。幕末の仙台藩士たちの埋もれたエピソードを記録する動きもありました。
An.
先生のご先祖も、その動きの中で?
Dr.
白老町に、仙台藩元陣家跡の記念碑がまずできまして。それから三好監物の遺品を中心に記念館も設立されたんです。
An.
そこで三好先生の出番(笑)!
Dr.
記念館の完成した88年に私たちが仙台から招待され、記念式典が行われました。ところがその際に、白老町では耳鼻科医不足のために、耳鼻科学校健診がなされていないことが判明しました。
An.
それで健診と、調査が始まるんですね!
Dr.
お話しは続く、です。お楽しみに!