3443通信 No.363
一関市“秋の2大イベント”訪問レポ
秘書課 菅野 瞳

空が高く澄みわたり、気持ちのいい秋風が吹き始めた2024年10月の第2日曜日、当院内で一番フットワークが軽いであろうと自負している私は、宮城県からも程近い、岩手県一関市にある一関水辺プラザで行われた『一関・平泉バルーンフェスティバル2024』(図1)と重ねて、一関ヒロセユードームで行われた『全国もちフェスティバル2024』(図2)に行って来ました。
なんとこのバルーンフェスティバルは、2012年の初開催以来、東日本大震災の復興イベントとして、開催国内最高峰の熱気球競技大会である“熱気球ホンダグランプリ”の第2戦に組み込まれており、全国から凄腕のパイロットが集結する一大イベントになっているのだそうです。

図2
迫力の熱気球
皆さんは、熱気球を間近でご覧になったことがありますか? 観光客を楽しませるオプショナルツア―の一種である熱気球に競技大会が存在することだけでも驚きではありますが、そもそも熱気球を間近でご覧になったことがある方はそう多くはいらっしゃらないと思います。
以前、私は豪州への渡航の際、思い切って熱気球体験搭乗をしました。あの時の自分がまさに鳥になったような、自由を手に入れたような、そんな感覚を今でもしっかり覚えています。
なんとこのバルーンフェスティバルでは、事前申込みという制約はありますが、体験搭乗が出来るのだそうです。
そんな告知を拝見し「乗らない訳にはいかない!」と思った私は、早速申し込みを行うべく試みましたが……残念。既にどの時間帯も満席の表示で、こればかりは諦めざるを得ませんでした。
若干傷心の私ではありましたが、気を取り直し、いざバルーンとお餅が待ち受ける会場へ向かいます。
バリエーション豊かなもちフェスティバル
どちらを先に鑑賞しようかと悩んだ末(いえ、やはり先は腹ごしらえでしょう(笑)、まずは『もちフェスティバル』の会場に立ち寄りました。
私の目にまず飛び込んできたのは、ビヨーンと伸びるお餅をこれでもかと美味しそうに頬張る方々の姿です。生唾ゴクン……いただいたパンフレットを片手に、どのお餅メニューから攻めようか熟考しますが、このイベントが午前中から行われていたこともあり、残念ながら多数のお店で完売・売切れの案内が掲げられていました。
より取り見取りという決して好条件ではなかったものの、食いしん坊の私の目に留まったお餅メニューは、“もち入り短角牛メンチカツ”(図3)、そして“七福おでん”(図4)です。まずは揚げたてサクサクの“お餅メンチカツ”からいただいてみます。んっ???このメニューは率直に、美味しいか否かと問われれば、メンチカツは非常に美味しいですと答えます。一口目のサクッではお餅に当たらず、満を持して二口目。しっかりとお餅は顔を出しましたが、はて……このお餅は必要なのかな?

図3

図4
牛肉に包まれているこのお餅は一切伸びるわけでもなく、言われなければお餅と分からない程度で(一見、ハンペン?蒲鉾?のようでした)、これは正直ミスマッチの印象を受けました。
アイディアですよね、大事なのは! と思い直し、お次は夕方になるにつれ、肌寒さを感じるようになっていた時分にはもってこいの“おでん餅”の実食です。んっ?こちらのお餅も同様に全く伸びてはくれず、そして味付けはこれから? という程の優しすぎるお味。いただいたお餅メニューでは、残念ながら満足感を得ることが出来ませんでしたが、このイベントがあるからこそ家庭でも出来そうなお餅メニューのレパートリーを知ることができ、お餅メニューの幅が広がりました。
是非再訪の機会に恵まれた際には、出店されるお餅メニューの全制覇?ではなく(笑)、国内最大級と銘打った盛大に盛り上がる餅まきイベントに名乗りを上げたいと思います。
大空に浮かぶ巨大バルーン
食したお餅が少しずつお腹の中で膨らんできているのを感じつつ、いよいよバルーンフェス会場へ足を踏み入れます。
有難いことに、もちフェス会場とバルーンフェス会場間は、乗り降り自由のバスが、何便も運行されています。
約10分程バスに揺られ、バルーンフェスティバル会場に到着です。河川敷に設けられたローンチサイト(バルーン係留場)には、色とりどりのバルーンが所狭しと敷き詰められて離陸の時を待っています(図5)。

図5
離陸時間が刻一刻と迫る中、観衆の皆さんが何やらざわつき始めました。何のざわつきなのか・・・? 頭の中にクエスチョンマークが浮かんでいましたが、その謎はすぐに解けました。
熱気球の競技(図6、7)には、後いかほどでバルーンが離陸となるのかを示すシグナルの旗が掲げられます。

図6

図7
私が到着しシグナルを確認した時には赤色の旗が掲げられていました。
赤色の旗が示す意味は、離陸禁止。既に離陸予定時刻は過ぎていますが、旗の色は一向に変わりません。
10分が過ぎ、20分が過ぎ……そしてようやく、見飽きていた赤色の旗がチェンジされました。
「おっ、いよいよかな?」
いえ、残念ながらそう簡単にはいきません。旗の色は赤色からピンク色へチェンジされ、ピンク色はブリーフィング(簡潔な説明や事前確認、打合せを意味します)の合図です。
ということは、飛行まで一段階進んだ証拠。
旗の色がピンク色に変わるや否や、各々のチームが、バルーンを広げてみたり、バナーの調子を確認するなどの作業に取り掛かり始めていました。
シグナルの旗が緑色に変われば、いよいよ飛行OKの合図となります。観衆の目が、必然とシグナルに注がれる中、飛行OKの合図は唐突に掲げられ、バナーの点火によりバルーンに命の息吹が吹き込まれていきます(図8)。

図8
飛行の準備が着々と進んではいるものの、何とこのタイミングで意地悪と言わんばかりの強風が吹き始め、開いたバルーンは横風にビシバシと煽られます。
バルーンを支えるスタッフが息を合わせ、すぐ横に待機するバルーンに接触しないよう必死に踏ん張る姿(図9)に、思わず私たちも力が入りました。

図9
強風が落ち着くタイミングを見計らい、バランスを取り戻したバルーンは、一機また一機……と、みるみるうちに大空へと飛び立っていきます。
これはやはり、バルーン操縦者の力量なのでしょう。風の影響もあり「危ない! ぶつかるっ!」と、思わず叫びたくなるような状況が目の前で何度も繰り返されていましたが、ぶつかりそうでぶつからないという神業……流石、競技大会と言わんばかりの飛行を思う存分拝見させて頂きました。
バルーンが飛び立つまでの過程を、最初から最後まであますことなく見届けることが出来た満足感と、強風に負けず方向修正を重ねながら無事に飛び立った約30機に及ぶ熱気球の姿を頭上に拝み、口にしたお餅だけでは満たされることがなかった私のお腹は、いつのまにか溢れんばかりの満腹感で満たされていました。
頭上に浮かぶ多種多様の熱気球は、絵本の世界に紛れたかのような不思議なメルヘンチック空間を醸し出し、気付けば熱気球がボタンサイズに見える程までに見入っていました(図10)。

図10
空港の滑走路で何機もの飛行機が列をなし、大空へ向け飛び立つ姿を眺めることが好きな私ではありますが、熱気球が次々と膨らみ、一斉に離陸して空のキャンパスが熱気球でいっぱいになる光景もまた一見の価値がありました。
イベントが開催されるこの時期には勿論のこと、熱気球の係留体験搭乗は大会期間外でも体験のチャンスがあるそうなので、お餅文化で名高い一関市や、世界文化遺産を有する平泉町を訪問の際には是非アクティビティ候補の一つとして取り入れたいと思います。