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3443通信 No.364

 

三好耳鼻咽喉科クリニック ラジオレポート
ラジオ3443通信「スギ花粉症の疫学調査」

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 耳・鼻・喉に関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」の三好彰院長は、耳鼻咽喉の診療に携わって45年。今回は2015年2月にfmいずみで放送された内容を紹介します。
[An.…江澤アナウンサー、Dr.…三好院長]

スギ花粉症の疫学調査
An.
 お話は花粉症の話題から三好先生が長いこと研究してこられた、疫学調査について進行中です。まずは日本国内の調査が1989年ごろからスタートした。
Dr.
 調査はその後、中国で進行するんですけれど。この仕事は日本だけでなく、今なお調査を継続中の中国でも注目を浴びていまして。
An.
 と言いますと、先生?
Dr.
 日本にしか存在しないとされていたスギの木が、実は中国にも存在したこと。それ故に、日本人の国民病だとされてきたスギ花粉症が、中国人の間にもひそかに広がりつつあること。
An.
 そうした重要な事実が三好先生の調査で証明されたんでしたねぇ!
Dr.
 それと同時に、日本に在住する中国の方に、スギ花粉症がはやり出したんです。中国に住んでいる間は「くしゃみ・鼻水・鼻詰まり」の花粉症症状は、あまり体験しなかったわけなんですけれど(笑)。
An.
 中国のスギ林は、日本ほど密生していないんですね?
Dr.
 日本のスギの森林は、第二次世界大戦後の復興で木々が切り倒され、洪水が多発した対策として、全国一斉に植樹されたものです。
An.
 その人工樹林が樹齢30年たって一斉に花粉を飛散させる(笑)?
Dr.
 そうです。世にも悲惨なスギ花粉症の発作が、日本全体で発生(笑)。
An.
 中国には、スギの人工林は?
Dr.
 一部で、やはり洪水対策のためにスギが植樹されていますが、日本ほど広い面積で一斉に行われたわけではありませんので。
An.
 もしかすると、お仕事などで日本に定住せねばならない中国の方に、日本人と同じくらい切ないスギ花粉症の発作が? 日本在住の中国の方といっても、いろいろな理由があるでしょうけれども…。スギ花粉症に悩まされている方が、まとまって生活しておられる場所…?
Dr.
 さすがは1を聴いて10を知る江澤さん。さて、それは一体、この日本の中のどこでしょう(笑)?
An.
 江澤にも想像がつきません(笑)。
Dr.
 江澤さん。それは中国から訪れた多くの留学生が集まる場所、つまり大学です。
An.
 それは想像がつきませんでした。自主的に、座布団1枚、お返しします(笑)。でもその留学生さんたちは、どれくらいの人数がお住まいなんでしょう?
Dr.
 私の弟子である中国からの留学生は3人いましたが、彼らの話では7万人以上は在住しているという話でした。日本に来て数年で花粉症になるというのは、関係者の間では有名な話のようですね。
An.
 つまり、在日する中国の学生さんは日本で生活して何年間か過ぎると、ほとんどがスギ花粉症になっちゃう(笑)?
Dr.
 私の中国における調査では、やはりスギ花粉に暴露した方にはアレルギーがあるという事実を確認していますので、そうなってもおかしくはありません。次回からは、その世界初の発見をした経緯についてお話しします。
An.
 すごい展開になってきましたが、時間です。次回を、お楽しみに!

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