3443通信 No.366
世界三大オーケストラ
『ウィーン・フィル』『ベルリン・フィル』の演奏会に行ってきました
院長 三好 彰


図1、2
世界には名だたるオーケストラがいくつも存在していますが、特に有名であり格式が高いのが世界三大オーケストラと称される『ウィーン・フィル』『ベルリン・フィル』『ロイヤル・コンセルトヘボウ・オーケストラ』です。
今回、そのうちの二つのオーケストラによる演奏会が仙台で開催されましたので、鑑賞してきました。
『トヨタ・マスター・プレイヤーズ』
日 時:4月25日(金)
会 場:日立システムズホール(青葉区旭ヶ丘)(図3)
演 奏:ウィーン国立歌劇場オーケストラ(ウィーン・フィルのオペラ上演時の別称)

図3
私が、ウィーンフィルを生まれて初めて聴いたのは1972年のことです。
日本初の本格的なコンサートホールとして名高い日比谷公会堂で、いまだ音楽コンサートが開催されていた時代でした。
そのコンサートは、ロッシーニ作曲の弦楽とフルートがメインのアンサンブルが演奏されました。
それから1974年3月に、オーストリアの指揮者であるカール・ベームがウィーン・フィルを率いて来日し、HNKホールでコンサートを開催した時は、運良くその抽選券が当たり、シューベルトの交響曲第7番を聴いたことがありました。
さすがに72年当時の音色までは覚えていませんが、74年のベームによるシューベルト第7番開始のなんともいえないホルンの柔らかい響きだけは、忘れることができませんでした。
それが今回、ウィーンフィルの室内合奏団が仙台で演奏してくれることになったので、50年ぶりにその音を堪能することができました。
特に印象に残った曲目はモーツァルトの交響曲第40番で、これは随筆家の小林秀雄が自身の著書『モオツァルト』において「モオツァルトのかなしさは疾走する。」と書いていましたが、まさにそのセリフがつい心の中で浮かんでしまうような、そんな音でした。
いずれにしても豊かな響きに変わりはありませんが、その中の緩徐楽章における弓の使い方による繊細な音を目の前にして、しばし呆然としたものです。
後半は打って変わってウィーンで盛んだったオペレッタの中から有名な『こうもり』や『パガニーニ』などの喜歌劇が選ばれ、ソプラノであるヘドウィグ・リーターの歌声が加わった好演目でした。
良く言われていますが、一般的なワルツは第一拍にアクセントがある「ダン タンタン……」というリズムで演奏されますが、ウィンナーワルツは第二拍目にアクセントを置いた「タ ダッタン……」というリズムが特徴的だと聞いたことがあります。今回は、まさにその通りの躍動するワルツの美しさが心身共に染みわたってくる感動的な演奏会でした。
その盛り上がりは素晴らしく、演奏の終了時には観客によるスタンディングオベーションが起きたほどで、忘れられない一夜になりました(図4、5)。

図4

図5
『ベルリンフィル・12人のチェリストたち』
日 時:7月10日(木)
会 場:イズミティ21(泉区泉中央)(図6)
演 奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(チェリスト12人)

図6
こちらはまた別の演奏会で、クリニック近くのイズミティ21で開催されました。
このベルリンフィルの『12人のチェリストたち』は結成50年を迎えており、前々からその評判は聞いていましたが、CD音源で聞くとその面白さが全く分かりませんでした。
ですが、実際の演奏を聴いてみると、それぞれに役目が割り振られた12人のチェリストたちが、代わる代わるにしみじみした曲からダイナミックな曲までを演奏し、チェロとはここまで表現力に満ちた楽器なのかと感動しました。
チェロは弦楽器ですから弓で弾くのは当然として、弦を指で弾くピッチカートや、本体を手で叩いて打楽器にしてみたりと様々な表現技法があることを知り、チェロという楽器の良さをつくづく理解できました。
演奏される曲目は多岐に渡りましたが、なかには日本の曲をアレンジした『金毘羅船々(こんぴらふねふね)』や『荒城の月』といった耳馴染みの深い曲もありました。でも非常に当たり前ではありますが、私はガブリエル・フォーレの『フォーレ・パヴァーヌ』が一番ジィンとくる演奏であったように思います。
こんな仙台の泉にまで、ウィーンフィルやベルリンフィルがやって来るようになったことは驚きですし、あと何回こんな機会があるかは分かりませんが、絶対に聴き逃さないゾという意気込みに燃えています(図7、8)。

図7

図8