3443通信 No.367
めまいには様々な病態があり、その多くは耳に原因があると言われています。ですが、なかには脳などの命の危険が伴う中枢性めまいも存在します。
ここでは、過去に学会で発表しためまいに関する症例についてご紹介します。
3443アーカイブス
学会発表『突発性難聴にて受診したアーノルド・キアリ奇形の1症例』
期 日:2008年10月30日
学会名:第67回 日本めまい平衡医学会
会 場:秋田ビューホテル
三好 彰(三好耳鼻咽喉科クリニック)
中山 明峰(名古屋市立大学)
石川 和夫(秋田大学)
鈴木 淳一(日本ヒアリング・インターナショナル)
症 例
症 例:51歳 男性。
主 訴:右側耳鳴、めまい、右側難聴
現病歴:1995年2月から右側耳鳴、めまい、3月初めから右側急性難聴が出現し、3月10日近医を受診した。 聴神経腫瘍を除外するため、脳外科にてCT検査を行ったが、異常所見は認められなかった。
所 見
1995年10月20日、当院を初めて受診(図1)
初受診後の経過と眼振の変化について、1995年12月13日から翌96年1月16日に神経内科で入院検査を実施(図2)。CTにて異常は認められなかった。
1996年5月31日の眼振検査では、徐々に中枢性障害が示唆されるになってきた(図3)。
自覚症状としてむせる、ときどき誤嚥するとの訴えがあり、1996年6月24日に国立仙台医療センター脳外科を受診する(図4、5)。

図1
図2
図3
図4

図5
経 過
1996年6月26日、左側突発性難聴が出現(図6)。
同年8月13日、脳外科で後頭蓋窩減圧術を施行。
難聴はこの後、変動を繰り返して今日に至っている(図7~9)。

図6

図7
図8
図9
図10
図11
まとめ
・突発性難聴で受診したアーノルド・キアリ奇形の1症例を報告した。
・本症例では、下眼瞼向き垂直性自発眼振が特徴的であり、MRIによって確定診断がなされた。ここでは、垂直性眼振が明確になるまでの経緯とその後を示した。
・脳外科的治療の結果、眼振はほぼ消失した。
・難聴はそれに対して変動を繰り返している。
・垂直性眼振は奇形に起因しており、初診時からの耳鳴・めまいと急性難聴は内耳性のものと考えられた。
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