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3443通信 No.378

 

サッカーとゴムの木

院長 三好 彰


 私は、かつて中国や日本などにおいてアレルギー疫学調査(https://www.3443.or.jp/news/?c=18784)を実施して来ましたが、その活動の中で記憶に残る土地がいくつかあります。
 特に思い出深いのが、南米のブラジルという国です。

 広大な原生林の広がるアマゾン(図1)。
 轟音の大瀑布マナウスの滝(図2)。
 植民の歴史を示す人種の坩堝(るつぼ)(図3)。

 私は過去に三度(1988年、1999年、2008年)、ブラジルを訪れたことがありましたが、そのいずれもが刺激に満ち溢れた旅となったことは一生の思い出として残っています。

図01 2012年07月 No.209 アマゾン川の夏(2008年7月9日 院長撮影) 図01 2009年03月 No.170 イグアスの滝にかかる虹(2008年7月11日 院長撮影)
 図1 大アマゾンとアマゾン川          図2 マナウスの滝

図03
 図3 多様な生徒たち


 ブラジルと言えば、4年に一度開催されるサッカーワールドカップの強豪国の一つですね。
 そして今年は、FIFAワールドカップ2026の開催年でもあります。
 我らが日本の代表チームであるサムライジャパンは、2026年6月から7月にかけての予選ステージを好調な滑り出し2位通過し、つづく決勝リーグ1回戦で日本代表は、強豪ブラジルと対戦しました。

 ――今年こそは優勝を!

 その熱意のもと、多くの応援者たちが深夜にも関わらずお店や家のテレビに張り付いて、ブラジルとの対戦を見守りました。
 序盤から猛攻を仕掛けるブラジルに対し、危機的場面を何度も救ったのは日本の守護神・鈴木彩艶(すずきざいおん)選手です。その驚異的な身体能力と反射神経をもって、ペナルティエリア内で放たれた強烈なシュートを悉く防いでいました。
 彼の守りを信じた日本代表のオフェンス陣は、果敢にブラジルゴールを狙います。

 そして、先取点はまさかの日本!

 ブラジル選手のパスルートを察知した佐野海舟選手が、一瞬の隙をついて相手のパスボールを奪い取ります。そのまま疾風のごときスピードでブラジル陣地へと切り込んだ佐野選手は、ディフェンスの陰から強烈なシュートを放ち、ブラジルゴールの角へとボールを叩き込みました。
 あのブラジルから初得点を奪った瞬間、日本中が歓喜に沸きました。

 ――このままいける!!

 そんな上がり調子のモチベーションで迎えた後半戦。相変わらずブラジルの攻撃は激しく、何度もゴール前での攻防が続きます。

 しかし、後半戦の54分。彩艶選手の守りを突破したボールが日本のゴールネットを揺らします。その後も必死に守りながらチャンスを伺う日本ですが、後半戦のアディショナルタイムに入った95分。ブラジルからの逆サイドに振ったパスに交代出場のマルティネッリ選手がシュートを合わせ、それが決勝点となって試合は終了しました。


 今でこそ、日本の若手選手たちが強豪ひしめくヨーロッパリーグなどでしのぎを削り、時には所属チームの勝利に大きく貢献する様子が報道されています。

 世界で戦える日本サッカー。

 その実力は着々とついてきていると、多くの解説者やサッカーファンは口を揃えます。ですが、優勝するチームになるためには、まだまだ多くの課題が残されているとも言われています。

 今回、日本代表チームを率いた森保(もりやす)監督は、かつては日本代表チームの一員としてフィールドに立ち、あの“ドーハの悲劇”として知られる屈辱的な敗北を経験した選手の一人だったことは良く知られています。
 その森保監督は、今回のブラジル戦での敗北後のインタビューで、こう話されていました。

「日本のサッカーは、間違いなくレベルが上がっている。世界を越えていくためにはさらなる努力が必要だが、日本は目標をはっきりとさせれば絶対にそこに辿り着けると思っています」

 日本のサッカーブームの火付けとなったJリーグの開幕(1993年)から、今年で33年が経ちました。
 今では多くの若手選手たちが国内のみならず世界に羽ばたき、世界で戦える日本から、世界一を成し遂げる日本という新たな目標に向けて全力でフィールドを駆けています。

 私はふと、どうしてブラジルはこんなにもサッカーが強いのだろうと思いを馳せました。
 そういえば、私が2008年にブラジル友好協会主催の移民100周年記念行事に参加するためにブラジルはアマゾンのある村を訪れた際、ゴムの木から得た樹液(図4)を使って作る伝統的なゴム作りを見学したことがありました。

 そこでは、上半身裸のおじさんが白いゴムの木から樹液(ラテックス)を採取し、その樹液をボール状に纏めながら煙で燻して殺菌し、一つのボールに仕上げていました(図5)。

図01あ 図02あ
 図4 ナイフで傷付けたゴムの木からとれるラテックス   図5 お手製のサッカーボール(?)


 そのゴムを使ったボールを使って、ブラジルの子どもはボール蹴り遊びを毎日のようにやっていたのです。

「これが、ブラジルサッカーの強さの原点か……」

 幼い頃からサッカーボールと共に育っているブラジルの子どもたちは、日がな一日サッカーをやり続けながら、その技術と体力を育てています。子どものまっすぐな集中力の全てをサッカーに投じるブラジルサッカーの根源を見て、これが強さの秘訣なのではないかと、まだ温かくツンとした匂いのあるお手製ゴムボールを手にしながら感じました。

 まずは日本にゴムの木を植える。

 そこから始めてみても、面白いかも知れませんね?


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