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みみ、はな、のどの変なとき

51 耳の検査「聴力検査」

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① 純⾳聴⼒検査
 ⾳叉を使⽤して聴⼒を推定する⽅法もありますが、現在ではオージオメータという特定の周波数の⾳を、その⼤きさを変えて発⽣することのできる機器が、測定に使われています。
 各周波数の⾳別に聞こえの変化を捉えることができますから、騒⾳性難聴のような特殊な⾳から悪化する難聴も、早期に発⾒することができます。
 ただし5歳以上でなければこの検査は正確な反応が得にくく、⼦どもでは他の⽅法を活⽤することになります。

② 語⾳聴⼒検査
 ⽼⼈性難聴などでは、⾳としては聞こえるけれどもその内容を把握しにくくなることがあって、内⽿だけでなく脳の⽼化が原因と考えられています。そのような場合には純⾳聴⼒検査だけでは難聴の検出が難しく、ことばを聴かせて明瞭に聞き取れるかどうかチェックする必要があります。
 その⽬的で、ことばの⾳量を変えて聴かせてやり、何%聞き取りが可能かを調べる検査です。

③ 幼児聴⼒検査
 ⼦どもは、3歳までに⾔葉を覚えると⾔われています。ですから⽣れ付き⽿が遠かったりして、3歳までに適切な対応がなされないと⾔葉を獲得できないまま成⻑することになります。ですから⼦どもの難聴は早期に発⾒し、対策を⽴てねばなりません。ここでは詳しくは述べませんが、5歳以下の⼦どもの聴⼒を測定する⽅法がいくつか確⽴されています。⾳に対して反応が鈍かったりして難聴の疑われる⼦どもは、⼀度⽿⿐科医に診せて頂く必要があると思います。

④ 他覚的聴⼒検査
 これまで①から③に書いて来た聴⼒検査は、検査を受ける⼈(被験者)が⾃分の意志で反応を⽰すことで、聞こえの程度を判定するものでした。

それに対して、⼈体の⾳に対する⽣理的反応を検出して聞こえのレベルを確認する⼿法があり、他覚的聴⼒検査と呼ばれます。
 それらの代表的な検査に脳波を使⽤した聴⼒検査があり、聴性誘発反応検査(ERA)と称します。これは⾳を聴かせて、⽿から脳へ⾄る神経の通り道(聴覚伝導路)で発⽣する電気信号をキャッチする⽅法で、⼈体が⾳を把握しているのかどうか客観的に測定できます。

これらの中でも聴性脳幹反応(ABR)と呼ばれる検査は、内⽿から脳幹までの聴覚伝導路の機能を検出でき、他覚的聴⼒検査としてのみならず詐病もしくは詐聴(⽿が聞こえないとうそを⾔い、何らかの利益を得ようとすることです)を証明したり、聴神経腫瘍のスクリーニングにも役⽴ちます。このため利⽤価値が⾼く、⽇本全国に普及した感があります。ただ測定には時間がかかり、幼児聴⼒検査に応⽤する場合には被験者の⼦どもを薬剤などで眠らせる必要があります。

⼀⽅、⿎膜の可動性(⿎膜が動き易いかどうか)を調べるインピーダンス・オージオメトリの⼀種であるティンパノメトリは、滲出性中⽿炎の検出に役⽴ちます。滲出性中⽿炎では⿎膜の内側に液体が溜まっており、⿎膜の動きが悪くなります。このため聞こえが悪化するのですが、ティンパノメトリは液体の貯留の程度を判定するのに便利なのです。

滲出性中⽿炎が⼦どもに多いこと、3歳前後の幼児では難聴が⾔葉の発達に影響すること、などの理由から近年3歳児健診にティンパノメトリが取り⼊れられました。

 

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