3443通信3443 News

 

みみ、はな、のどの変なとき

86 いびきをかき易いとき

前話  目次  次話

 

普段はいびきをかかない⼈でも、体の状況によってはいびきをかくこともあります。
 そんな状況について、いくつか以下に述べます。

まずは、体がひどく疲れているときです。 普段から睡眠中は、筋⾁の緊張が弛んで軟⼝蓋や⼝蓋垂がたれ下がり、呼吸のたびに振動します。それがつまり、いびきとなるのです。
 疲労時にはその筋⾁の弛緩がいっそうひどくなり、さらには⾆根部(⾆の付け根)がのどの奥深く⼊り込み、気道を狭くしてしまいます。このため、すごい⼤いびきとなり易い訳です。

もちろん⾁体的な疲労だけでなく、精神的にキツイときにも睡眠時の粘膜の弛緩が強く、同様にいびきをかき易くなります。
 この粘膜弛緩といびき増強との関連は、他の場合にももちろん共通します。ですから、例えばお酒をたくさん呑んで体が緩みきったときや、睡眠薬を使⽤してぐっすり眠りこけているときなども、いびきが増強します。

良く、年をとってからいびきをかくようになったという話を、⽿にします。⼀⾒奇妙なお話ですけれど、年令と共に体の筋⾁が弱りますから、のどの筋⾁も緩み易くなります。いびきをかきがちとなるのも、そんな理由からなのです。
 年齢的な意味では逆に幼少児で、⼝蓋扁桃(咽頭の両側に⾒えるいわゆる扁桃腺のことですが、ここからは単に扁桃と書きます)や咽頭扁桃(アデノイドとも⾔います)が⾮常に⼤きくなっていることがあり、気道の狭窄からいびきや睡眠時無呼吸症候群となることがあります。この扁桃やアデノイドは成⻑すると⼩さくなり、その意味では様⼦を⾒ていても良いのですが、余りにもいびきや無呼吸がつらいような場合には、これらを切除する⼿術が有効です。

扁桃がもっとも⼤きいのは6〜7歳であり、アデノイド肥⼤のピークは4〜5歳とされていますから、それを⽬安に⼿術すべきかどうか決定します。⼀時的な体の状況とは表現できにくいのですが、肥満もいびきのとても⼤きな原因です。
 つまり太っていると、体の外ばかりでなく体内にも脂肪が付いています。空気の通り道である気道の内側にも、体の他の部分同様脂肪が付着していますから、当然呼吸の際に摩擦⾳が出ます。

摩擦の原因である気道の狭窄がひどいと、ついには呼吸が⽌まり睡眠時無呼吸症候群(後述)と呼ばれる状態になりますが、太っているとこの状態になり易いのです。
 肥満はいびきの原因であり、健康の⼤敵でもあるのです。

 

前話  目次  次話

[目次に戻る]