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みみ、はな、のどの変なとき

95 CPAP

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いびきがあまりにひどいと、これまでも述べて来たように睡眠時無呼吸症候群(SAS)のため、眠っている最中に息の⽌まってしまうことがあります。

すごいいびきをかいていたのに突然息をしなくなるのですから、傍らに寝ている⼈はびっくりして怖くなってしまうくらいです。
 知らぬは当⼈ばかり、ですけれど。

その多くはいびきの轟⾳の合間に無呼吸が1分くらいあって、また急に雷のようないびきが再開するものですが、⼀晩にそんな無呼吸を何⼗回か繰り返すことがあります。
 このため睡眠が⾮常に浅くて、昼間の傾眠傾向(眠くて堪らないことです)が強くなり、前述のように⾞の運転中にいつのまにか居眠りをしたりして、⼤事故に繋がることも良くあります。

それだけではなく、ひどい⼈になると寝⼊ったとたんに呼吸が⽌まってしまい、窒息死してしまうことも絶無ではありません。それをしゃれた表現法で「オンディーヌの呪い」と⾔うのですが、呪われたら⼤変です。
 これは肥満した欧⽶⼈に多く、アメリカなどではほとんど社会問題化しかけているのですけれども、幸い⽇本⼈には未だ少ない病態です。

しかしすごく肥満した⼈では、⽇本⼈といえどもこの呪いを逃れることはできません。 ことにお相撲さんでこうなる⼈がときにいて、引退した⼤乃国関もその⼀⼈だったと聞きます。
 こうしたひどい睡眠時無呼吸症候群の⼈には、CPAPという持続陽圧呼吸装置が⽤いられます。これは⿐にマスクをあてがい、連続して弱い気圧をかけ続け、呼吸を⼈⼯的に管理するものです。重症の睡眠時無呼吸症候群にはとても役⽴ちます。

その原理ですが、仰向けの姿勢になると最初は⿐からのどそして気管にかけて空気が通っています。ところがいびきや睡眠時無呼吸症候群の⼈では寝⼊ると、⾆根部や軟⼝蓋など咽頭の軟らかい組織が沈下し、気道が狭くなります。すると空気の通る際に摩擦⾳がして、いびきになったりそれがひどい場合には睡眠時無呼吸症候群になる訳です。

CPAPでは⿐にマスクを付けて陽圧をかけますので、沈下していた⾆根部が空気の圧⼒で浮き上がり、気道が拡がります。
 こうしていびきや睡眠時無呼吸症候群を、⼈⼯的に管理するのです。

 

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