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みみ、はな、のどの変なとき

100 エピソード14「咽喉頭異常感症として耳鼻科医を受診したうつ病の女性」

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しつこい咽喉頭の違和感を訴え、精査のために私のもとへ紹介された35歳の⼥性がいました。この⽅はのどには何の所⾒も⾒られませんでしたが、⼼理検査で強いうつ状態にあることが判りました。

当初この⽅は抗うつ剤が良く効いて、うつはかなり軽快して来ました。しかしある時期、⾝辺に不幸が相次いだのをきっかけに、再び強いうつにはまり込んでしまいました。
 そんなときのこの⽅の表情は、まるで⽯のように硬く沈うつでした。

私は⾃殺の危険性を感じ取り、この⽅に私のスケジュールをすべて伝え、何かあったら必ず私に電話を⼊れるよう指⽰しました。うつ病は⽣真⾯⽬な性格の⼈がなりやすく、約束は⼏帳⾯に守るからです。

電話は来ました。電話越しに啜り上げる涙声でこの⽅は、親戚から侮辱されたことを理由に、⼀⼈娘を道連れに⼼中したいと⾔います。
 電話を通じて私は話を聞き出し、説得して⾃殺を思い⽌まらせ、翌朝また電話を掛けて来るよう約束させました。

そしてその翌朝、この⽅からの電話を受け取ったときの、うれしいようなホッとしたような何とも表現できない気持ちを、私は⼀⽣忘れないでしょう。います。

 

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