3443通信3443 News

3443通信 No.363

 

ラジオ3443通信「中国アレルギー調査」


 ラジオ3443通信は、2010年から毎週火曜10:20~fmいずみ797「be A-live」内で放送されたラジオ番組です。
 ここでは2012年10月9日OAされた、学校健診にまつわる話題をご紹介いたします。

89 中国アレルギー調査
An.
 三好先生、お帰りなさい。先生は毎年、アレルギーの医学調査のために、この時期中国に行っておられるんでしたよね。
 今回の調査は、いかがでしたか?
Dr.
 お話は、北海道白老町学校健診の途中ですけれど、中国調査も一連の疫学調査の一部分です。
 ちょっと寄り道して、ご説明しておきましょう。
An.
 9月中旬の中国国内事情なんですけど、大分騒々しかったようで・・・・・・。先生たちの調査に、影響はありませんでしたか。
Dr.
 今回私たちの調査対象は、雲南省の昆明(くんみん)市の北西に位置する香格里拉(シャングリラ)市、そしてタイと隣接する西双版納(シーサパンナ)の景洪市でした。
An.
 それは、中国のどこにある土地なんでしょうか?
Dr.
 江澤さん、中国の地図を見てみましょう。東西に5,000キロ近い広さの中国の、真ん中付近に蘭州市というシルクロードの町が見えます。
An.
 先生、「蘭」という文字は現代中国の略された漢字みたいですね。
Dr.
 で、その蘭州市の南を見ると、成都市という地名が見つかります。
An.
 先生、成都と言いますと三国志に出てくる諸葛孔明で有名な、歴史的な土地じゃありませんか?
Dr.
 さすが江澤さん。私たちも、医学調査でチベットへ行くときには、いつも利用する中継地点です。
 いつかそのお話も、聞いてくださいな。で、その成都市を真南に下って行くと、昆明市という町に出ます。
An.
 「こんめい」と書いて、「くんみん」と呼ぶんですね。
Dr.
 その昆明市がこのあたり、つまり雲南(ゆんなん)省の中心地で、日本で言うなら県庁所在地です。
An.
 この省の地名も「うんなん」と書いて「ゆんなん」と、読むわけですね。
Dr.
 それでですね。この省の地図のあちこちを眺めると、いろんな少数民族の自治州の地名が見えますよね。
An.
 ホントですね、三好先生。大理白(ダーリーペー)族自治州とか、西双版納(シーサパンナ)タイ族自治州とか、それっぽい名前の土地が地図に載ってますよね。
Dr.
 その大理という地名の自治州で採取されるのが、つまり大理石なんですよ。
An.
 ええっ! そうなんですか。江澤はちっとも知りませんでした。
Dr.
 日本のお墓に使用されている石は、かなり中国産のそれが、多いんです。その代表が大理石なんです。
An.
 へぇー。
Dr.
 で、こうした地名からも想像できるように、この雲南省には少数民族がきわめて多数住んでいるんです。
An.
 少数民族って、どういう民族のことなんでしょうか?
Dr.
 チベット族とかイ族とかペー族とか、さまざまな民族がいて、中国全体では55の少数民族がいるんです。
 それでは江澤さん。中国全体の民族の数は、どのくらい居ると言われてるか、お分かりですか?
An.
 先生、もしかすると中国は漢民族とその55の少数民族から、成り立っているんじゃあありませんか?
Dr.
 江澤さん、その通りです。だとすると、質問の答えは、もう出てますよね。
An.
 先生、中国全体の民族数は、56です。
Dr.
 さすが、1を聞いて10を知る江澤さん。百点満点です。
 それで、ですね。ここからが肝心なんですけど、ね(と声をひそめる)。
An.
 (ささやき声で)えぇ。
Dr.
 今回の中国の大騒動は、漢民族の多く住む地域で発生しているんです。
An.
 少数民族の多い地域では、騒動はゼロなんですね?
Dr.
 少数民族の住む地方で騒ぎが起こると、その騒ぎが56番目の民族に向かう恐れも・・・・・・皆無じゃなかったんです。
An.
 先生が今回、調査に行かれた雲南省は・・・・・・。
Dr. 
 25の少数民族の居住する地帯ですから、絶対に騒動は発生しません(笑)。
An. 
 (笑)そんな、先生。まるで笑い話。
Dr.
 つまり、今回報道されたような大騒ぎの本質は、そこらへんから透けて見えてくるような気がするんです(笑)。
An.
 難しい政治のお話はともかくとして、三好先生の中国における調査旅行が、すごく安全だったという理由が、とっても良く理解できました。
Dr.
 私たちもすごくリラックスして、雲南省の旅をエンジョイして来ました。
An.
 雲南省って、どういうところなんでしょうか?
Dr.
 その伝わり方は、まだ完全に分かってはいないんですけど、現在の日本の主食であるお米やお蕎麦は、雲南省が原産地だと言われています。
An.
 お米は雲南から日本に来てるんですか?
Dr.
 稲作の光景も、以前五月の連休に行ってみたときには、本当に日本の風景を見ているような錯覚におそわれました。
An.
 それ以外、日本と共通の食習慣はどうでしょう。
Dr.
 雲南省はお茶の名産地で、有名なプーアール茶は、西双版納のそれが香りも高くて、おいしいんですよ。
An.
 次回も、そのお話の続き、楽しみです。ありがとうございました。


関連記事
 ラジオ3443通信(バックナンバー一覧)

[目次に戻る]