3443通信3443 News

 

みみ、はな、のどの変なとき

88 睡眠についての基礎知識

前話  目次  次話

 

いびきや睡眠時無呼吸症候群は、当然ながら睡眠中の問題です。ですから睡眠についての基礎知識を頭に⼊れてから、その成⽴を理解する必要があります。

睡眠は⼤きく分けて安らかな眠りであるノンレム睡眠(レム睡眠ではない、という意味です)と、夢を⾒ていることの多いレム(急速眼球運動 Rapid Eye Movement,REM)睡眠とから構成されています。

レム睡眠のときには、閉じた⽬蓋の下で眼球がきょろきょろと動いており、体はぐったりしているのに脳は覚醒に近い状態となっています。このためレム睡眠にある⼈を起こすと、その約90%に複雑な内容の鮮明な夢を⾒ていることが知られています。

ノンレム睡眠は⼤脳を沈静化させるための眠り、レム睡眠は⼤脳を活性化するための眠りです。健康な成⼈では、こうした2種類の眠りが約1時間半の単位を作って⼀夜が過ぎます。

通常最初の3時間(2単位)に深いノンレム睡眠が出現し、その後レム睡眠と浅いノンレム睡眠とが組み合わされて出現します。そして各単位の終了後ごとに⽬覚め易くなります。これを、レム・ノンレム睡眠周期と表現します。
 睡眠中の呼吸は覚醒時と異なり、いくつかの⽣理的変化を伴います。

前述のように睡眠中はのどの粘膜が弛緩し、気道は狭くなります。また呼吸に使われる筋⾁の活動も睡眠時は低下しており、こうした2つの理由から⾎液中の酸素濃度が低下します。けれども睡眠中の体の酸素消費量は覚醒時よりも少ないので、多少の酸素濃度低下は特に上気道に病気が存在しない限り、体への影響は⼤きくありません。

もちろん何らかの疾患があれば、話は別です。

この睡眠の深さや⾎中酸素濃度は、いびきに強い関連があります。
 ですからいびきやSASのひどい⼈には、睡眠中の脳波や⾎中酸素濃度などを連続して測定し、呼吸や体の状態をモニターしてその対策を考えます。この検査を、終夜睡眠ポリグラフィー(Poly-Somno-Graphy,PSG)と呼びます。SASについての、もっとも詳細なデータの得られる検査で、本検査の実施により確実ないびき・無呼吸の診断と治療⽅針確定がなされます。

 

前話  目次  次話

[目次に戻る]