3443通信 No.375
耳のお話シリーズ54
「あなたの耳は大丈夫?」32
~大沼直紀先生(筑波技術大学 名誉教授・元学長)の著書より~


私が以前、学校医を務めていた聴覚支援学校。その前身である宮城県立ろう学校の教諭としてお勤めだったのが大沼直紀先生(筑波技術大学 名誉教授)です。
その大沼先生による特別講演の記事『聴覚障害に携わる方々へのメッセージ』(3443通信No.329~331)に続きまして、ここでは大沼先生のご著書『あなたの耳は大丈夫?』より、耳の聞こえについてのお話を一部抜粋してご紹介させて頂きます。
相手の名前を正しく聞き取る
▼名前を聞き取ることの大切さ
相手の名前を聞きまちがえない、呼びまちがえないということは、わたしたちの暮らしの中で重要なことです。名前の確認からコミュニケーション関係がうまくいったり、だめになったりすることさえ少なくありません。
しかし、難聴者にとっては聞きまちがえやすい姓や名前がたくさんあります。
聴力が正常な人でも、電話のやりとりで、ときに「佐藤」と「加藤」を聞きまちがえたりすることを考えれば、なるほどと納得してもらえるでしょう。
正確に聞き取れたか心配なときは、姓と名前を続けて復唱するなどして確認します。
言葉は文節的に短くしてしまうほど理解しにくくなりますから、手がかりの多い長い情報に言い換えるわけです。
▼愛称の聞きにくさ
もっとも短くて聞きちがえやすいのが、2音節でできている愛称です。
たとえば「たっちゃん」と「さっちゃん」、「きくちゃん」と「いくちゃん」、「じんくん」と「じゅんくん」などは、音節のリズムや音韻の特徴が似通っているので、難聴の耳には、聞き取りがかなりつらいといえます。
左の表の愛称リスト(図46)で自分に関係のある名前を見つけだして、聞き取り具合を整理してみましょう。どのような音声に聞き誤りが起こりそうかが予測できます。自分の聞きにくさの傾向を把握しておくことは、きっと強味となるはずです。

図46
【前話】「あなたの耳は大丈夫?」31