3443通信3443 News

3443通信 No.377

 

耳のお話シリーズ56
「あなたの耳は大丈夫?」34
~大沼直紀先生(筑波技術大学 名誉教授・元学長)の著書より~

図00a図00b


 私が以前、学校医を務めていた聴覚支援学校。その前身である宮城県立ろう学校の教諭としてお勤めだったのが大沼直紀先生(筑波技術大学 名誉教授)です。
 その大沼先生による特別講演の記事『聴覚障害に携わる方々へのメッセージ』(3443通信No.329~331)に続きまして、ここでは大沼先生のご著書『あなたの耳は大丈夫?』より、耳の聞こえについてのお話を一部抜粋してご紹介させて頂きます。

相手に伝わるコミュニケーション
▼よりよく聞いてもらうために
 電球など光源の前に立って話さないでください。窓とか明るいライトなどの前に立ち、光を背にして話すと、顔面に影ができてしまいます。まぶしくて話し手の顔を見られないということもあり、読話など視覚的な情報の手がかりが得られなくなります。
 理解してもらえないときは、同じことを繰り返し言うより、別の言い方をしてみてください。身ぶりや手ぶりも交えて表情豊かに話してください。生き生き話すようすが伝わって、会話が楽しくなります。
「タバコ」と「タマゴ」のように、読話が困難な言葉もあります(図47)。必要に応じて紙に書いてもよいでしょう。要は、どんな手段を用いても話の内容が伝わることが肝心です。

図47 P.110
 図47


▼じょうずな質問のしかた
 イエス・ノーで応答が終わってしまわないような質問のしかたをしてください。
「速達ですね?」と尋ねたのに対してうなずいた、あるいはノーというしぐさをしたからといって、話した内容が理解されたとは限りません。「普通の郵便で出しますか、それとも速達にしますか?」と質問して、「速達にしてください」と具体的な意見が返ってきて初めて、話したことが確実に伝わったことになるのです(図48)。

図48 P.111
 図48


 筆談の文は、短く簡潔に記述してください。筆談は思いのほかめんどうなので、すべてのことを常時書くというわけにはいきません。しかし、難聴者にとっては確実な情報が得られるので助かります。
 一語一語書き連ねるのではなく、要約筆記の要領がよいのです。主題をはっきりさせ、大事な内容を表わす語句やキーワードを2~3話書くだけでも、十分な情報が伝達されます。下向きで書いてばかりいるのではなく、ひとまとめごとに向かい合って、コミュニケーションをはかってください。
 離れたとことからの連絡には、ファクスが適しています。補聴器を通したり、音声を増幅する電話を使うこともできますが、書き言葉で確認すると安心です。


【前話】「あなたの耳は大丈夫?」32

[目次に戻る]