めまいの方へDizziness Vertigo

めまい

はじめに

めまいは、体の様々な原因から起きる症状ですが、主に内耳の三半規管に異常があって発生します。
なお、脳から来るめまいはNo.320の学会発表の例などをご参照ください。
まず、ここでは代表的なめまいである「良性発作性頭位めまい(BPPV)」について、その症状と原因や治療法についてご説明します。

めまいって何?

ある日「グルグル」「フラフラ」というめまいに襲われて日常生活がおくれない。でも、医療機関を巡っても原因不明と言われてしまった…。
そんなお話を良く耳にします。
めまいの多くは、耳の中にある体のバランスを司る三半規管の異常によって発生します。
他にも、血圧の異常や脳の異常、精神的な理由など原因は様々です。
めまい治療は専門知識を持った医療機関(めまい学会「めまい専門会員リスト」)がお薦めです。

動画①「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」を治す体操療法「エプリー法」

めまいの原因、発生の理由、治療法について説明しています。実際の治療光景(下図A~C)は、7分から始まります(9分50秒)
動画①は正常人をモデルとして治療法を説明するものです。実際のBPPVの眼振は動画③をご覧下さい。

動画②「鈴木淳一Dr.の実験」

院長の恩師である、故・鈴木淳一Dr.による幻のウサギの眼振実験ムービーです。(17分28秒)

 

体のバランス感覚

私たちが、普段何気なく立ったり歩いたりできるのは、両耳それぞれに体の位置を感じ取る「耳石器」と、体の回転を感じ取る「三半規管」、この2つの器官の働きで体のバランスをとっているからです。

耳石器(じせきき)って?

耳石器は2つの器官から成り、垂直方向と水平方向の体の位置(傾き)を感じ取っています。
内部には細胞膜があり、膜の表面には耳石という結晶がついています。耳石に重力がかかると、神経を通じて体の傾きが脳に伝わります。

三半規管って?

左右の両耳それぞれに、チューブ状の3つの輪っかが縦・横・水平に90度ずつ立体的に配置されています(左図)。

三半規管の中はリンパ液で満たされており、体の傾きに応じてリンパ液が動きます。その流れる速度を神経が感じ取り体の傾く速度(加速度)を脳に伝えるのが三半規管です。

例えば、フィギュアスケート選手のようにクルクルと回転した後、回転を止めてもしばらくはリンパ液が三半規管の中を動き続け神経を刺激するので、見ている景色が動いている様に感じられます。

この際景色の動きと反対向きに眼球が動いているものですが、これがめまいです。

また、このめまいが起きるときの特徴的な眼の動きを 眼振 がんしんと呼んでいます。

そもそも眼振って?

汽車に乗って外の景色を追いかけるときのように、眼がどこまでも目的物(視標)を追うときの眼球の動きです。

でも実際には、眼球はみえなくなるまで視標を追いかけることはできません。必ず急激に元に戻り、その後に改めて次の指標を追いかけます。

この急に戻る眼の動きを 眼振 がんしんといいます。

めまいの発生しているときには三半規管のリンパ液の流れを異常に感知し、眼振が生じます。
このため、めまい検査では眼振検査がとても重要となります。

代表的なめまい

代表的なめまいと言えば良性発作性頭位眩暈症(以下、BPPV)があります。
前述の耳石(カルシウムの欠片)が何かの拍子、例えば頭部外傷(サッカーのヘディングなど。下図)の衝撃で細胞膜から剥がれ、リンパ液と一緒に三半規管内を漂い、めまいを感じる神経を刺激することで起きるめまいです。
特に、仰向けに寝ている時の姿勢から、耳石器の真下に位置する後半規管に耳石が入り込みやすいと言われます。
そして朝、耳石が後半規管に入った状態で起き上がると、体にかかる重力の方向が変わり、同時に耳石も動いて神経を刺激するので、起床時もしくは夜半のトイレ時など起きがけに激しいめまいに襲われるという仕組みになっています。

治療法はある?

BPPVを一生二度と発生しないよう、完全に治癒する方法は今のところありません。ですが、めまい発作は次の方法で抑制することができます。

エプリー法

この方法は、頭の位置を一定の方向に向けていく手技により、三半規管内の耳石を、外まで移動させる方法です(図下図A~C)。
当院では、通院して頂きめまい専門会員である医師の指導の下でエプリー法を行っています。

治療の実際(エプリー法)

動画③ 「BPPVによる実際の眼振」

(上記ムービーをご参照ください)左耳の後半規管に耳石がある場合の左方へ向かう回旋性の眼振(有眼)。

治療の実際(左側後半器官型BPPV)は動画①の7分過ぎをご覧下さい。

  1. 仰向けになり、頭を肩より下にします。
  2. 頭を左45度に傾けます(A)。
  3. 頭を右45度に傾けます(B)。
  4. 体を右横向きにし、頭を右45度(135度)に傾けます(C)。
  5. 上半身を戻し、座位となります。
  6. 以下、①~⑤を繰り返します。※動画①の7分過ぎをご覧下さい。

※右の耳石は、左右逆の施術となります。

英語によるエプリー法の解説動画です。

マンガで分かるめまい

院長が監修した医学コミックシリーズでは、様々な耳鼻咽喉科の病気についてマンガで解説しています。 当院ホームページで無料閲覧できますので、ぜひ一度ご覧下さい。

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3443通信めまい記事

治療を受けた方の感想が綴られています

めまい資料

Epley法のすべて」(丸善)
中山明峰 先生(めいほう睡眠めまいクリニック 院長)が翻訳・監修した、エプリー法の生みの親であるDr. Epleyのめまい患者用パンフレット(一部)です。